スマート式の新奇性と市場占有率

2022年の後半は6.5号機からスマスロへと移行が行われたパチスロ市場が
大きく業績を伸ばしました。

それにともなって、パチンコのハイミドルからパチスロへお客様が移動し
たことが数値の変化から読み取れます。

これは射幸性に対する移動だといえそうですが、言葉を変えれば業界全体
のパイが変わっていないことを現わしています。

客数の下がる年末ということもありますが、スマスロが出現してからも
市場の総客数が増えていないことは、やはりヘビーユーザーが主体となっ
ていることを意味します。

しかしまだスマスロの市場導入率は2%程度でしかなく、これからが本番
ということになります。

問題はこの高い射幸性遊技機の比率です。

自店舗の中における設置比率ということではなく、市場全体での設置比率
がこれ以上高まって行くことに対する不安です。

ライトユーザーがあってのヘビーユーザーという視点から考えた場合に、
パチンコもパチスロも射幸性の高いハイスペックに偏重し過ぎてしまえば
バランスを崩してしまいかねません。

『レジャー白書2022』

レジャー白書2022によるとパチンコ・パチスロの市場規模は、
前年と同水準の14兆6000億円、推計参加人口は10万人増え720万人でした。

回復しているように見えますが2019年比では170万人少なく、
これは日本の人口動態との関係があることを忘れてはなりません。

ちなみに売上好調な公営競技の参加人口を見てみると、
中央競馬は30万人減、
地方競馬は50万人減、
競輪は20万人減、
ボートレースは10万人減でした。

過去に3千万人もいたといわれるパチンコ参加人口は、
約24%にまで縮小していることになります。

強いファンによる売上構成の偏重が否定され続けていますが、
その視点は本当でしょうか?

たしかに高い参加率によるライトユーザーの増加は重要ですが、
時代背景を考えた場合にその考え方で上手く行くとは考えづらいといえます。

『2022年という時代の変革期』

来年のゴールデンウイークに第一回目のピークが来るのではないかと思っています。

市場構造の変化とパワーゲーム

2020年と2021年ともに売上規模と粗利規模の変化はありませんでした。

しかしパチンコとパチスロの売上・粗利構造には変化が出ています。

それはパチスロの6号機への入替からきているものです。

ダイコク電機の発表によれば、2020年と2021年の業界売上は約14.6兆円。

2020年のパチンコ売上が約49%、パチスロ売上が約51%です。

2021年のパチンコ売上が約56%、パチスロ売上が約44%です。

つまり、約7%の売上がパチンコからパチスロに移動したということになります。

これは5号機から6号機への変更による離反が、パチンコのハイミドルに移動したわけです。

ということは、これから6.5号機によってパチスロへの流れが起きると予想されます。

その先にはスマートパチスロが待っているのですから、パチンコとパチスロ比率は

2019年の構成比率までもどる可能性があるといっても言い過ぎにならないかもしれません。

そこで起きるのが、遊技機の素早い入替とヒット機種の取り揃えであることは分かります。

つまり、パワーゲームになることを避けられないのが現実ということです。

年内まで不採算店の整理が続くと見られます。

2022年末から来年2023年以降も投資が続きます。

スマスロの導入、新紙幣への対応、これらは待ったなしです。

そして2023年は団塊の世代が73歳~75歳になります。

多くのパチンコオールドファンは離れてしまうことになります。

その要因として、年金生活者にとっての物価高があります。

インフレの背景に円安があることはご存知の通りです。

今回の円安の背景には、輸出企業の競争力低下による

日本経済の低迷という問題があり、構造的な要因が大

きいと思われます。

これはパチンコ産業としての転換期に当たる時期となります。

縮小する市場に対して新たな魅力を提供できなければ、

さらにシュリンクしてしまうことになります。

射幸性の提供に偏るため、その遊技性が複雑化しています。

これは気楽に遊技できないという現状と、従来のファンを

呼戻せないという問題を合わせ持ちます。

内部仕様は複雑であっても、表面的にはシンプルである、

という誰でも分かりやすく、ケツを掘られない安心感、

という気楽に参加できる遊技機が必要かもしれません。

2022年度内は厳しい状況が続くという見方

今年度に入ってからも営業を休止するホールが増えています。

その理由は賃貸契約ばかりではなく、先行きの不透明にあります。

つまりこのまま営業を継続しても黒字が見込めないからです。

まもなく6.5号機がリリースされます。

これでパチスロは一息できるかもしれません。

ただし、希望されるほどの台数が販売されるかは疑問です。

ロシアのウクライナ侵攻が長引く中で、

世界の半導体、電子部品の不足も解消されません。

そうなれば製造台数も思い通りにはいかないでしょう。

さらにはご存知の通り、遊技機は互換部品が使えません。

リリースしてからヒットが確定しても、

簡単には追加生産のできないことが分かります。

そうなれば買えたもの勝ちというパワーゲームに偏ります。

またこれから販売される遊技機の値段も、

部品の高騰から値上げになる可能性も十分にあり得ます。

これまでの購買履歴がないホールでは、

欲しくても購入できないということが普通に起きるでしょう。

では中古でということになりますが、

遊技機のスペック変更の途上にある場合、

4円ハイミドルに集中しているターゲット顧客とは

現在のハイミドルは、Re:ゼロ、エヴァンゲリオン、ガンダム

といった機種が中心になり稼働しているわけですが、

Re:ゼロのスタートは、2012年です。

エヴァンゲリオンのスタートは、1994年です。

ガンダムのスタートは、1979年です。

ターゲットの時代背景として考察してみると、

花の慶次は、1990年にスタートしています。

北斗の拳は、1983年にスタートしています。

キン肉マンは、1979年にスタートしています。

原作となっている漫画がスタートした時代とは、

そんなに強い関係性があるわけではないようですが、

それでも緩い関係性があるのではないかと思います。

その時代を生きた人の思い出は人生そのものです。

その当時流行った音楽やTVドラマ、電気製品や車など、

外部環境は人の心理(価値観等)に影響を与えることが

分かっています。

とくに青春時代の環境からは強い影響を受けるため、

その時代を代表するようなモノは記憶の奥底に残ります。

2025年問題を考えても、団塊の世代が青春時代だった

質量の低い企業が減るということ

繁盛の決め手は質量のコントロール

企業経営の質と量は、
衰退期において市場優位を得るための重要な要素になります。

分かりやすく書くと、遊技機を買えるのか(量)、

粗利率を適正にコントロールできているか(質)、ということです。

遊技機を買えないということは、
量的な鮮度コントロールができていないことを意味します。

適正な粗利コントロールができていないということは、
商品の品質管理質ができていないことを意味します。

これではお客様の期待に応えられないため、競争力は得られません。

理想は、遊技機が買えて、適正な調整ができることです。

仮に遊技機を買えても、適正な調整ができなければ、
市場占有率でトップには立てません。

遊技機を買えないし、適正な調整もできなければ、
危機的な状況になります。

購入する遊技機を絞り込み、適正な調整をすることは、
リスクは低くありませんが、生き残るためには一つの
選択だといえます。

平均値は意味がない

『ダイコクの平均値だから安心だ』

何を言っているのか、本人には意味が分からないのでしょうが、
自分は無能だと言っているようなものです。

平均値が安心を担保してくれるのだと勘違いしている方は
多いのかもしれません。

しかし少し考えれば分かる通り、平均値とは演算からできています。

極端なことを言えば、4万アウトの店と、2万アウトの店があり、
平均が3万アウトになりますが、そんな店は無いわけです。

目標値を低く設定することは、
達成できなかった時の安心材料になります。

目標値を高く設定することは、
達成できなかった時の反省材料になります。

高い稼働を作り出しているところを相手にせず、

低い稼働をしているところを目標設定にする。

それではいつまでも稼働数を上げる成長ができません。

大切なことは高い稼働を生み出している店があるのなら、
自分の店もそこまでは可能だという考え方が必要です。

元からの資産が違うから無理という考え方もあります。

一撃でお客様を増やすという考え方

ロングレンジとショートレンジ

今日のお客様をすぐに増やす方法はあります。

それは人気機種を導入したり、増台することです。

または新しい新台を導入する。

出玉系のイベントを開催する。

広く刺激的に広告宣伝を行う。

これをやると直ぐに反応が得られます。

しかしその提供するといわれている価値が、

実際には低かったり、期待外れだった場合、

お客様の失望と同時に離反も起きてしまいます。

つまりあせって集客をすると、長期的には客数減となります。

どうしても目先のお客様が欲しいという気持ちは充分に分かります。

しかしその誘惑に負けてしまうと、取り返しのつかないことになります。

ではどうしたらよいのでしょうか?

長い視点(ロングレンジ)で営業を設計することです。

明日のお客様を今日作ろうとしないことです。

つまり、半年先のお客様を今日つくるという視点が大切になります。

分かりやすく表現すると、

このお正月営業に来店したお客様を、

次のゴールデンウイークに来店してもらう。

それぐらいの気持ちが必要になります。

第6波から第7波まであるとしたら

この季節指数としては低迷

毎年、新年度からは業績の好調が続き、ゴールデンウィーク、夏休みと
ピークが来ることで年計が設定されます。

しかし2020年からのパンデミックにより、その数値設計に歪みが出て
います。

全体的にピークが低く、短期的な傾向が続いています。

明らかにパンデミックの影響ですが、3年間も続くと人々の行動にも
定着するものが増えてきています。

夜の消費行動では、明らかに変化が出ており、夜の稼働が伸びなく
なっています。

これは飲食店の営業自粛の影響で、早く家に帰る習慣が日常化して
きていることがうかがえます。

また、65歳以上年配者層の夜間外出が減少していることも同様です。

そうなるとハイミドルのような機種は稼働しても、その他の機種は
簡単に稼働が戻らないということが推察されます。

その理由は、このパンデミックが簡単に収束しないことが見えて来た
からです。

このウイルスは世界中で変異が起きていて、もはや無くなることは
なく、人類と共に生きて行くことになりそうだからです。

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