POKKA吉田 『木村よしお先生を励ます集い』を受けてコラム
Perception と Literacy.
 
かなり間があいた。前回ここに原稿を投げたのはいつだったか確認をする。わざわざ私の原稿作業だけのディレクトリの中に作った ”nobu”というフォルダを久しぶりに開ける。
私はファイル名をyyyymmddにする癖があるので右の部分をスクロールしてプロパティを見るまでもなく判明する。昨年の11月27日のことだった。このときも頼まれて遅れての入稿である。今回なんて今年に入ってから数か月経過して頼まれた内容を今回変更して入稿している。これではいけない。せっかく業界の中の私にとっての大切な「友人枠」の石川忍さんの頼みである。心機一転、もう少しレスポンス良くしないといけない。
あ、申し遅れました、私、POKKA吉田ことオカザキと申します。今回もよろしくお願いします。
 
私の仕事は前回も触れましたが、フリーランスのライターでして、ぱちんこ業界のことしか取り扱っておりません。頼まれたことはやるけれど自分から仕事を開拓することをほとんどやらないというスタンスを続けておりますが、頼まれたことも増えまして、現在では業界紙の月刊シークエンスの発行人・編集長という、まあ株式会社シークエンスの実質総責任者のような立場にもあります。
さて、マーケティングを勉強している方にとっては馴染みのことですがそうじゃない方にはあまり聞かない言葉に ”Perception is reality”というものがあります。これは要するに「伝わったこと(相手が認識・感知したこと)が現実」という、意味的には情報の受け取り側を主体にしたセンテンスです。これ、私のような物書き稼業の人にとっては、わざわざ言われなくともわかっているという類のものになります。
 
私のような物書きにとっては、記事を読んだ人が私のメッセージを誤解することをヨシとはしません。私の意見と違うというような反応はむしろ建設的議論への可能性もありますので歓迎なのですが、私が言おうとしていたことと真逆に近いことを私が言っていると理解されることはなんとしても避けなければなりません。だから、記事をどのように書くかということはかなり気をつかうわけです。
一方で、情報の受け取り側にはリテラシーという言葉もあります。おそらくは ”Perception is reality”よりは一般化した外来語です。意味は理解力や読解力という感じですが、たまには行間やニュアンスも含めて、ちゃんとした受け取り側ならわかるけれど、リテラシーのない人にとっては全くわからない、という情報も世の中にはあるのでリテラシーを高めよう、みたいな形で言われるものです。
物書きが相手に伝わった結果を気にしながらリテラシーにもよるよ、ということをやるのは一種の保身的な二律背反だとは思います。

私の原稿の多くは「わかりにくい」とか「冗長だ」と言われることが多く、わかりやすくしようと務めるということをほとんどやりません。平易な言葉にすることはやりますが、伝えようとしていることが難解なものを簡単に伝えるのは不可能だとも思っているからです。だから、この二律背反とは常に向き合っております。
 
っと、枕としてはここまででいいかと思います。
 
今年3月15日、全日本遊技産業政治連盟は参議院選挙の全国比例の自民党公認を受けた木村よしおさんを応援することを記者会見で表明しました。
昨年の8月に自民党や風営法議連の幹部からの応援要請を受けてのことですが、発表がこの時期になっているのは公認決定や公認証書受け渡しが遅れたということも理由になっております。
公認手続きが遅れたのは昨年、2回幹事長が交代したことも理由です(二階氏→甘利氏→茂木氏)。
 
で、木村よしおさんを応援しようということで、先日5月12日、「木村よしお先生を励ます集い」というパーティーが開催されました。
全日遊連阿部理事長、日遊協西村会長、日工組榎本理事長、日電協兼次理事長他、業界の重鎮が一堂に会する一大イベントです。
現職の国会議員も田中和徳自民党幹事長代理(風営法議連の会長です)、みなさんご存じ平沢勝栄議員、同じくみなさんご存じ鈴木隼人議員がかけつけました。
もちろん励まされる本人である木村よしおさんも登壇され、新橋の第一ホテルに集まった多くの業界関係者(ならびにzoom配信を観ていた多くの業界関係者)に熱いメッセージを発信していたわけです。
 
ところが、今でも業界関係者の中には「3年前は尾立さんで今年はなぜ木村さんに?」ということを疑問視する人が大勢います。
また、尾立さんは昨年の途中からtwitterアカウントを動かして、ちょくちょく遊技する姿を発信していることから、業界関係者にとってどちらがどうなっているのか、よくわからない人がたくさんいる事態になっているようです。
 
この点、すべての業界関係者に対して重要なことを大きく二つ触れておきます。
 
一つは「業界が自民党と風営法議連と強固な関係を築いていること(すなわち木村よしおさんを応援すること)を維持するとどうなるか」です。
 
これは私の結論ですが極めて単純です。「現行規則(新規則)の遊技機規制の緩和トレンドが続き、さらに今年の後半からはホール営業の規制についての見直しが加速して来年くらいにはホール営業の規制緩和トレンドが確立できるかもしれない」です。これは風営法議連の活動の想定ということでありまして、主役はもちろん風営法議連です。
その風営法議連の重鎮方(田中会長をはじめ議連の重鎮方)からの要請で木村よしおさんを応援することになったわけですから、あくまでも結果次第ではありますが、こうなる公算はかなり高いです。
 
これ、はっきりみなさん焦点を当てて語ったり聞いたりしていないと思いますが、基本はこういうことです。

「遊技機性能」「ホールの営業規制」この二つの規制群が緩和トレンドになっていく、ということが風営法議連の二大テーマなんです。現在は遊技機についてのPTしか議連では動いていませんが、何年も前からホール営業のPTを立ち上げて動かそうという準備はしてきております。
 
だから簡単に言えば取引なんですよ、自民党と風営法議連との。ぱちんこ業界は自民党や族議員候補である木村よしおさんを応援する、応援した人が国政で活躍できれば業界側にとっての職域利益を実現するために今とはレベルの違う努力をしてくれる、という話なんですね。
 
たとえば選挙について、どうしても思想信条だったり特定の候補者を応援することが自分の重要な役割・使命だったりする人もいます。そういう人にあれこれ言うことは私はありません。
しかし「どうせ選挙の日が忙しかったら行かない」とか「面倒だからほとんど行ったことがない」という人がいるのなら、自分の業界の職域利益のために行って来いよ、ということは、あまり考えなくてもわかるような話だと私は言い続けております。
 
一昨年、沖ドキの経過措置延長が間に合わなかった県がいくつかあります。実に気の毒でした。昨年はその間に合った県の期限について全日遊連内でかなりゴタゴタしたこともありましたが、一昨年に間に合わなかった県にとってはどうでもいい話でした。
で、一昨年5月に経過措置が延長となる規則附則が改正されたとき、多くの業界関係者に聞かれました。「なんで全部救えなかったの?」と。
私は当時、このように申し上げておりました。「昨年、参院選で尾立さん勝ってたら間に合ってただろうね」と。3年前の参院選では業界は尾立さんを応援しました。
尾立さんの業界票が足りずに負けたことは、業界の結論です。応援の総量が足りずに負けて「なんでこれが実現しないの?」というメンタリティは私にはありません。
「尾立さん、負けたのによく規則附則改正まで漕ぎつけた。業界の重鎮が自民党にがっつりコミットしてくれたおかげだ」と私は思ったわけです。
 
ただ、こうなるとどうしても「どうして今回は木村よしおさんを応援するのか。

3年前は尾立さんを応援してなぜ鞍替えしたのか」ということが疑問になると思います。それが今回もう一つ触れておくべき大きなテーマです。
 
そのもう一つである「なぜ今回は木村よしおさんの応援で、なぜ尾立さんの応援ではないか」という点。
 
これも実は単純な話です。
3年前の参院選で木村よしおさんも尾立さんも残念ながら負けております。尾立さんは民主党系の参議院議員を2期務めた方ですが、3年前は初めて自民党に鞍替えしており在野の人でした。
一方の木村よしおさんは3年前の改選までは参議院議員です。
お二人とも4年前から風営法議連に参加しております。尾立さんは議員ではないのでオブザーバー参加だったと思いますが、木村よしおさんは参加時点では自民党の参議院議員ですから議連で発言も多数してきております。で、3年前の参院選でお二人とも負けました。
 
問題はその後です。
尾立さんは後に風営法議連に参加しなくなりました。一方の木村よしおさんは議席を失ってからもずっと皆勤賞で参加し続けております。
さらにいうと、尾立さんは自民党との調整もあって、3年前の参院選でお世話になったぱちんこ業界の重鎮方に「今までお世話になりました、次回の参院選はペット業界の応援を受けて出ます」というお別れの挨拶まわりをやっていたわけです。
尾立さんからお別れの挨拶を受けた重鎮方はすぐに状況をわかります。
昨年の8月に自民党や風営法議連の幹部から木村よしおさんを応援してほしいと要請されれば「次は木村よしおさんだ」と普通にスイッチが入るのも当たり前です。
 
ところがお別れの挨拶について、特に業界で共有されていませんでした。これはおそらく今も共有されていないのだろうと思います。
だから多くの業界関係者が疑問に思っていたわけです。

たとえば昨年の時点でホール4団体の一つであるMIRAIは木村よしおさんを応援することを正式に組織内で決定しています。が、業界関係者の多くは知らない。
ほどなくして、尾立さんを応援するぱちんこ業界の企業さんが登場します。個々の企業や個人が個々の政治家を応援することは自由ですからそのことに何も問題はありません。が、つまり有力支援者が業界だったこともあってかあるいはその支援者の意向もあってかなのでしょうが、尾立さんはtwitterでの発信を遊技に特化したような形で再開していくわけです。
そのときはまだ昨年の段階ですから全日本遊技産業政治連盟は記者会見をしてませんし木村よしおさんを業界挙げて応援することをステートメントとしていないわけです。
 
今年、3月15日から業界挙げて木村よしおさんを応援することを政治連盟が表明しました。
この政治連盟はわかりやすく言うと21世紀会すべてが入っている業界総出の組織でもあります。
また、3年前の尾立さんの選挙戦では明らかに応援側にまわることをしなかった日工組、日遊協が今回、木村よしおさん応援では積極的です。
3年前は全日遊連、日電協、回胴遊商、同友会、余暇進が積極的で残りは中立、みたいな立ち回りでしたが、今回はすべての業界団体、特にホール4団体、メーカー2団体、販社2団体は、例外なく積極的に木村よしおさんを応援しております。
 
すなわち初めて「オール業界」の体制になりました。これが私が物書きとして伝えるべきファクトです。
 
さて、冒頭の枕の部分に戻りましょうか。

みなさんが「ぱちんこ業界の将来を見据えて7月投開票の参院選に向けて誰を応援するか」ということをどのように感じ、決めるでしょうか。

それは私から見て ”Perception is reality”という結果になるのでしょうか。それともこの記事を読んだ方のリテラシーはちゃんとしていたという結果になるのでしょうか。
 
”Perception is reality”とは、私のような物書き、つまり情報発信者にとっては失敗についての教訓的言葉です。

だって意図が正しく受け取り側に伝わっているのなら「認識が現実」というのは当たり前のことだから。

しかし私の意図と反して「業界のためにも尾立さんを応援しよう」とか「業界のために木村さんを応援しても意味がない」というように伝わっていたとしたら、

これはまさに教訓として ”Perception is reality”です。それらが業界全体の結論(アベレージというかマジョリティというか)であれば、7月の参院選の結果もそうなるでしょう。

せっかくホール営業の規制にメスが入る公算が高まっているのに実にもったいない話。
 
断っておきますが、尾立さんは今も自民党の公認候補予定者ですし、尾立さんも木村よしおさんも同じ二階派所属です。

だからお二人は政治の世界では所属が同じというくくりになります。敵ではございません。が、業界がよすがの一つにしている力は風営法議連にこそあって、

そこの総意は木村よしおさんを応援してくれ、です。尾立さんは議席を得たらペット業界の助力にはなるでしょうが、ぱちんこ業界の助力になることは残念ながら見込みがないです。

尾立さんにしても木村よしおさんにしても、個人の力で警察行政とは対峙するのはおそらく不可能です。

警察庁がたった一人の議員で動かせる役所なはずがございません(それこそ首相経験者とか故後藤田正晴さんのような大物なら別ですけどね)。

風営法議連の総力(=たくさんの自民党「衆議院議員」の力)を通じて自民党や政府からの調整を含めて、ようやく警察庁も対応できるというもの。

だから、業界の利益を願っての政治活動ならやるべきことは一択となります。
 
みなさんがリテラシーを持つのか、それとも私が ”Perception is reality”という教訓をまた受けなければならないのか。その答えは受け取り側であるみなさんの感じ方によります。

で、蛇足的に言えば、これは難解な決して内容の記事ではありませんから念のため。
 
どのようになるのか、こういう発信をしばらく続けて私は7月の投開票の中継を観ようと思っております。

 
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