POKKA吉田さんからの年末特別寄稿「ゆく年くる年」
2023年の終わりに
 
みなさまこんにちはorこんばんは。POKKA吉田ことオカザキと申します。

さて、以前ここに寄稿したのはいつのことだったかその内容はどういうものだったか、たぶんゆく年くる年のようなことを書いた記憶がうっすらありますので一年前かもしれません。2023年もそろそろ終わりますので本稿でもゆく年くる年のようなことを書いてみようと思います。
 
2023年はコロナ禍からの脱却というのが日本社会においては最も重要なことだったでしょうか。
ゴールデンウィーク明けの5類への移行によって消費者の行動制限が事実上なくなり、元の自由な状態になったように感じている人は多いことでしょう。今はマスクをしていない人も多くなりました。
 
ただ「元の自由な状態」とは違っている点も多いようです。
コロナ禍でのライフスタイルの変化はそのまま定着しているものも多く、消費が極端になりがち。
飲食店などの深夜営業はかなり減っていると感じておりますし今なおリモート会議も普通にあります。
一方、リアルの消費者の動きも激しいものもありまして、たとえば東京都内を電車で移動すると、曜日や時間を問わずかなりの混雑になりますし、その乗客の多くは外国人観光客となっています。
また、今は12月の忘年会シーズンですが、繁華街では終電後のタクシー獲得競争も発生しているとか。
いつ以来でしょうか、このような話を聞くのは。もっとも私は完全にライフスタイルが変化したので深夜にタクシーで帰るということがほとんどなくなりましたのでこういうことを実感はしておりません。
 
個人的にはいろいろあった一年間です。2023年の1月に脳梗塞になってからは食事の内容が全く変わったというか、変えました。
それまでの大好物であったマクドナルドをほぼ控えていまして毎朝、毎昼には再発防止のための血液サラサラ系食材をメインに食べています。
こういう食材は食物繊維が豊富なものも多く、腸内環境が劇的に改善されているのがはっきりとわかります。
それでも大好物だからと隔週くらいでチート日を設けマクドナルドを買って食べてましたがそのときどうも翌日くらいにお腹を壊します。
どうやら私はジャンクフードが身体に合わなくなってきたのかもしれません。あんなに大好きだったのに・・・
 
それはさておき。2023年を業界的に振り返ってみましょう。
 
スタートはまずはゴジエヴァ。
実際には2022年12月登場のこの機種は、私の中では始まる前に終わっていた機種ということになります。
まあ販売台数も多かったこともありますので機種能力を正確に評価するとさほど悪くはないのかもしれませんが、嫌々買ったところよりもある程度は期待して買ったところが多かったかと思っております(咆哮の増台分欲しさもありましたが)。
その期待に応えたとは言い難い機種となりましたが、これが2023年のスタートのようなもの。
「ああ、今年もRe:ゼロ鬼がかりと咆哮を超える機種が出ずに始まったか」というのが私の感覚でした。
 
大海5は今も重要な機種の一つですが、私は基本的に海系を遊技することはほとんどありません。
安定の海のゲーム性はもちろん嫌いではないのですが、年々多忙になってくるにつれ、海はまあ打たなくていいや、と思ってしまうからです。
なので大海5については耳年増状態ではありますが、主力の海が成功しているのは業界にとってはありがたいことでした。
鬼がかり以降、成功機種と呼べる機種がない状態が続いていましたからなおさらです。
 
4月はスマスロ北斗とスマパチ仕置人でした。北斗は間違いなく初速での史上最高IN枚数を叩き出しています。
メダルがないスマスロならではのアドバンテージといったところですが、案件分をメーカーもできるだけ用意しての成功ですからたいしたものです。
また、北斗の成功はスマスロ市場の確立を決定づけたと私は評価しています。
後にいくつものヒット機がスマスロから登場していきますが、その下地作りに寄与し、少しおさまったとはいえ今なお現役の機種です。
 
一方の仕置人は、スマパチのスタート位置をかなり低いところまで下げてしまう結果になりました。
映像クオリティは他メーカーの誰もが真似できない超ハイクオリティでしたのでいろいろ残念でしたが、スマパチやMLTS349設計について、業界巷間で低評価となるような価値観が横行することになってしまいます。
スマパチは4月からで事実上はGW前の仕置人の登場がスタート地点ですが、実際にはマイナスからのスタートになってしまったように感じています。
 
スマパチやMLTS349設計が低い機種評価の理由という価値観が横行した結果かもしれませんがガンダムSEEDに需要が集中します。
これがまた結果が出てのことではなく、前評判でのことだったことは業界にとっては少しばかり不幸だったかもしれません。
実際には5万台ほど販売され、多くのホール関係者が抱いた期待に応えることができなかった機種となりました。
3万台で止めていれば、という声が多数聞かれましたが、それを言うなら北斗も同じです。
単純にSEEDの能力がそういう程度だったという理解でいいかと思います。この点、SEEDとゴジエヴァは私の中では印象が似ています。
どちらも「もう少し台数が少なければ良い結果になったことが予想される」のですが
「ホールの需要が旺盛であり少台数販売になることがそもそもあり得なかった」のですから、似たようなものです。
 
仕置人登場前夜くらいから、石川忍さんは「夏のSEED、年末のエヴァ16」が重要だと言っていたと記憶しています。
このうちのSEEDは残念な結果になりました。年末のエヴァ16は本稿執筆時点でまだ導入3日目なので評価は留保しますが、
ではそれ以外の機種はとなれば、やはり9月のSAOということになると思います。
 
SAOはそれまで拡がっていた「スマパチは使えない」という変な価値観に終止符を打つくらいには成功したと思っています。
特に京楽にとっては仕置人でマイナススタートしてから半年もせずにリベンジ達成するわけですからたいしたものです。
スマパチを2機種出してうち1機種が成功するというのは、確率としてもとても高い合格点だと思います。
大都技研の確率が高すぎるだけでして京楽もスマパチに対して功績を誇っていいと思っています。
マイナススタートを原点地点にまで引き戻したのは間違いなくSAOです。
 
そして11月のRe:ゼロseason2です。大都技研は今やぱちんこ市場を牽引するトップランナーです。
2022年1月のRe:ゼロ鬼がかりと2023年11月のRe:ゼロseason2は、それぞれP機とe機(スマパチ)のトップ機種となっています。
大都技研はパチスロメーカーとして参入したのが4号機時代、キャメロットによってでした。そこから吉宗や番長でトップメーカーに成長しますが、ぱちんこでトップランナーになったのは鬼がかりが初めてのこと。
そしてスマパチでもトップランナーになったわけですから、大都技研はもはやパチスロメーカーの雄、という感じではなく「最も重要なぱちんこメーカーの一つ」と言えるでしょう。
 
スマスロ北斗以降のスマスロ市場は完全に確立された市場になったと思います。
からくりなど良い機種は多く、リリースペースもはやく、ホールの選択肢も多くなっています。
特定機種にのみ需要が集中する傾向はパチスロはかなり改善され、良い機種がいくつも登場するようになってきました。
私の印象ではオリンピア・平和のスマスロの営業データがどれも良く、次に山佐のスマスロの営業データも良いということになります。
「このメーカーはどれもこれも普通に使えることが期待できる」というところが複数あるのはホールにとってはとてもありがたいことです。
 
こういう状況がぱちんこでも見られるようになるためには、やはり特定機種「以外でも普通に使える機種がたくさん登場すること」が重要です。
P機は咆哮や鬼がかりなど成功事例はたくさんある上レギュレーションは変わっていませんのでやればできるはず。
スマパチはSAOとseason2が示してくれたようにもちろんポテンシャルは高いです。
そもそもe機はP機よりもレギュレーション上性能アドバンテージが高いのです。
 
とまあ、遊技機市場が良化しつつある進捗を見せる一方で、私の中では不安要素もあります。
それは
「2023年は機種選定眼というか、機械開発企画センスというか、遊技客のニーズと業界側の価値観のズレもたくさん目立った」ということです。
 
2023年のスマスロでおそらくワースト3になってしまった残念な機種はBASARA、エヴァ、まどマギになるかと思います。
機種の良し悪しは結果論ですから仕方がないし語っても得るものはないというのが持論なのですが、2023年については少し違うと思っています。
なぜならここで例示したワースト3機種は特に失敗例としてはかなりのものなのですが、2023年は北斗というスマスロだけではなくパチスロとして初速が歴史上トップ稼働だったという機種が登場した年なんです。
「最高の初速と最低クラスの初速の機種が同じレギュレーションで出て来てしまう」ことは、業界の価値判断基準に何かしら狂いがあったのだというのが私見です。
遊技客のニーズを遊技機メーカーやホールが間違って解している可能性があって、そこにこのような失敗例が積み重なっていったというのが考えられることではないでしょうか。
 
たぶん、機種選定なり機種開発企画センスなりについて言えば「単眼的」な基準に依存してないだろうか、ということなのだろうと思います。
たとえば「349は使えない」と言い切ってしまえばSAOは買ってもseason2は買ってないはずです。
たとえば「P機は使える」と言い切ってしまえばSEEDは大量に導入したことでしょう。
たとえば「スマパチは使えないけどスマスロは安心」と言い切ってしまえばLエヴァもLまどマギも大量に買ったことでしょう。
 
実際には良い機械というものは単眼的な理由で良いわけではありません。
鬼がかりやseason2が良い理由、SAOが良い理由、大海5が良い理由、結果の良いスマスロの良い理由、それぞれ「複眼的なもの」であるはずです。
「コンテンツが良いから」とか「ゲージが良いから」とか「メイン設計が良いから」とかの「単眼的物言い」は「とても楽」なのでついつい使ってしまいがち。
しかし、そういうことで機械の良し悪しが決まらないことは、業界歴が数年もあれば経験上わかっているはずなんです。
それでも目先の結果で価値観を変なものとしてしまい、そのような物言いが横行してしまう、そういうことがこういう現象のあらわれなのでしょう。
 
そもそも「スマスロも良いものと悪いものとはっきりしている」ということが言われ始めたのは2023年の夏頃から。
というか「遊技機に良いものと悪いものとある」ことは「説明が不要」な当たり前のことです。
爆裂機と呼ばれた時代、社会的不適合機と呼ばれた時代、それぞれ良い機械も悪い機械もありました。
なぜ話が目先になると「スマスロは良いけどスマパチは使えない」などの変な価値観が横行するのでしょうか。
ぱちんこ業界はまだまだ朝三暮四の猿と同じような単眼的な考え方しかできないのでしょうか。
 
2023年は広告宣伝ガイドラインの年でもありました。
広告宣伝については警察庁とホール4団体との連携的ガイドライン運用が過渡期なのでもう少し状況が改善するまでに時間を要するかもしれませんが、業界が道を間違えなければ広告宣伝の自由度はかなり増していきます。
せめてそのときくらいまでには、ホール関係者はモノの考え方を単眼から複眼に拡げて欲しいものです。
みなさんは「遊タイムやC時短なんて要らない」「メダルがなくなるなんてそれはパチスロではない」とか言った黒歴史はありませんか?
単眼思考から複眼思考への転換は、貴方の新しい黒歴史を発生させなくしてくれる考え方でもあります。
 
2024年は新紙幣への改札があって、ホール職域は設備投資がものすごく大変になります。
遊技機一台ごとに一つのビルバリという時代ですから、前の改札のときよりも設備投資は単純計算で重くなる上に現在はまだまだコストプッシュ型のインフレの真っ最中。単価そのものも見積上は高くなっているという話をよく聞きます。
 
原油相場などエネルギー相場は少し落ち着いたとは言え$ベースではまだまだ高い水準です。
為替も少し落ち着いたとは言え140円台と円安水準は変わらず。
日本は原材料を輸入に頼りエネルギーも輸入に頼っていますからいろんなものの値段が上がります。
電気代を筆頭に可処分所得が減っていく一方だという認識は消費者には根強いわけでして、賃上げや減税が求められるということでの政治、となるはずですが、今や派閥の裏金問題で岸田政権はもはや虫の息。果たして2024年はどのような日本社会になっているのやら。
 
ぱちんこ業界はseason2のおかげでぱちんこ市場のポテンシャルをようやく共有できました。
スマート遊技機は遊技機市場活性化の重要な切り札の一つであることは間違いありません。
ぱちんこもパチスロもスマート遊技機も既存機も、2024年以降も併存していく遊技機市場です。
遊技機市場における貸料金の総和が業界の市場規模なのですから、遊技機市場の活性化の可能性が年末ようやくぱちんこにおいても見えたという意味では2023年は良かったように思います。
 
終わりよければすべてヨシ、年を越せればヨシ、来年のことは来年にまた考える、そのようなメンタリティで私はいても良いと思います。
だって本日は2023年12月20日。今から2023年にできることなんてほとんどありませんからね。
 
2023年もお世話になったというかお疲れさまでした。
2024年もどこかでお目にかかると思いますのでどうぞよろしくお願いします。
新年明けましてからの読了でしたら明けましておめでとうございます。
ここの読者のみなさまが健康に正月を迎えることができますように祈っております。
 
ということで簡単ですが本稿を了とします。良いお年を!