2024/08/19

酷暑とゲリラ豪雨に今年の夏も辟易としそうな今日この頃、皆様も御無理なさらず御自愛くださいませ。

さて、本稿ではシークエンスチャンネル内で少し触れさせて頂いた10年前となる2014年と現在の6月月間同月比較についてまとめたデータを眺めながら徒然に。

この10年間で業界的に影響を被ったポイントとなる出来事は2018年の改正規則施行による新基準機の市場投入開始から
2021年旧規則機の完全撤去とこれを跨ぐ形で進行したコロナ禍となります。

加えて2014年後半からの保通協試射試験方法の変更も見逃せない事案。

2018年の6号機市場投入開始から回胴は暗黒の5年間を味わう事と成りました。

2014年6月末時点の店舗数はおおよそ11,600軒。2024年6月末時点での健全化推進機構登録店舗数はおおよそ6,800軒と、
この10年で4,800軒余の店舗数減少というのが現状。

当時の新成人は122万人。今年の新成人は106万人(但し、現在の新成人は18歳)。
新成人の総人口に占める割合は10年連続で1%を下回っているなか、総人口における65歳以上の高齢化率は2014年が26.0%。現在では29.2%となっており、
「遊びの力で心を元気に」(パーパス)という余暇産業としての打ち出しを鑑みれば、若年層、高齢層と決め打ちせずに幅広い年齢層へ遊技参加を促す業界としての方向性は大切かなと考える次第。

さて、その10年前。パチンコ機は1/399CR機時代。パチスロ機は5号機時代。括りとしてはART機が中心。
後述する当時のラインナップを眺めるとなかなかの賑い。

2024年のパチンコ機は1/319を中心としつつLT機+真・スマパチで新たなフェーズへ向かおうとしております。

パチスロ機はスマスロを中心としたAT機全盛。
当時のパチンコ機の機種構成で1軒あたり10台以上設置されていた中心機種はと申しますと、
CRぱちんこキン肉マン X3(1/397)、
CRルパン三世7 H9AZ1(1/394)、
CR牙狼FINAL-XX(1/399)、
CR大海物語スペシャルMFG(1/369)、
CRスーパー海物語IN沖縄3 HME(1/358)、
CR大海物語スペシャルMTE(1/349)、
CR大海物語2 MTE(1/348)の7機種。

これらをCRルパン三世7 M9AZ(1/299)、CRスーパー海物語IN沖縄3 XMC(1/399)、CR北斗の拳5覇者HVA(1/397)+その他海系を主力とした構成。

Bigデータに並ぶ型式数は208型式。海系のシェア率の高さが際立ちます。

片や現在進行形で1軒あたり10台以上設置されている中心機種は
Pシン・エヴァンゲリオンX(1/319)、
P新世紀エヴァンゲリオン15 未来への咆哮(1/319)、
P大海物語5 MTE2(1/319)の3機種。
加えてe Re:ゼロから始める異世界生活 season2 M13(1/349)、P Re:ゼロから始める異世界生活 鬼がかりver.M08(1/319)、P大海物語4スペシャル(1/319)、Pスーパー海物語IN沖縄5 LTV(1/319)を主力とした構成。

Bigデータに並ぶ型式数は224型式。海系からの変移が見て取れます。

パチスロ機に目を向けてみましょう。
当時の30π以外のパチスロ機の機種構成で1軒あたり10台以上設置されていた中心機種はと申しますと、
蒼天の拳2 ZZ、
アナザーゴッドハーデス X、
ニューアイムジャグラーEX-C、
アイムジャグラーAPEX VI、
アイムジャグラー EX-TPの5機種。
これらとモンスターハンター月下雷鳴 ZX、バジリスク~甲賀忍法帖~絆 TK(MK)、北斗の拳 転生の章 ZA+その他ジャグラー系を主力とした構成。

Bigデータに並ぶ30πを除く型式数は131型式。

現在進行形で1軒あたり10台以上設置されている中心機種は
SマイジャグラーV KD、
Sアイムジャグラー EX-TP、
Lパチスロ北斗の拳 AD XRの3機種。
これらとLからくりサーカス G、L押忍!番長4 A3、L革命機ヴァルヴレイヴ D、Lモンキーターン5 CE、L/バジリスク絆2~天膳~/ZN、Sパチスロ甲鉄城のカバネリ ZR+その他ジャグラー系を主力とした構成。

Bigデータに並ぶ30πを除く型式数は172型式。

外観から見てとれるのはパチンコ機・パチスロ機共にこの10年で多機種多構成化しているといったところでしょうか。

もう少しデータを掘り下げてみます。

2014年当時のパチンコ機は前述の通り1/399時代。この2014年6月時点での所謂ミドル~MAX機の占める設置比率はおおよそ62%。
時間アタリ売上の中央値は7745円。時間アタリ粗利の中央値は1410円。
玉単価の中央値は1.56円。玉粗利の中央値は0.28円。利率にして18%程度。
現在のパチンコ機で1/299~1/349の確率帯が占める設置比率はおおよそ64%。
時間アタリ売上の中央値は10150円。時間アタリ粗利の中央値は1750円。
玉単価の中央値は2.04円。玉粗利の中央値は0.35円。利率にして17%程度。

売上の向上(?)はヘソ賞球に起因。

当時のパチンコ機がヘソ賞球1個だと時間アタリ売上は10300円程度、時間アタリ粗利は1800円程度と換算できるので
発射玉数は変わっていないわけですから性能的にはほぼ当時と同等かなと。

ただ、大きく違う点は当時旧基準機撤去とほぼ同時進行であった「検定機と異なる性能を有する可能性のある遊技機」と、「そうではない遊技機」という点。

当時の“設計値一覧”にはワシの記憶が確かならば‘算定値’なんて載っていなかったような… 

くぎ問題以降、算定値が記載されるようになり、現在では下限ベース値15の安心設計値一覧へ至るわけです。

そうそう、Bigデータを眺めて気になっている点が。“e機”のベース値が12とか13とかになっているのを散見しますが、いわゆる遊技機情報センターは既に稼働しているわけでして、スマパチに関しては分間獲得遊技球数(通常ベース値)も1営業日単位で集計されている事をお忘れなく。

支援先にはクチを酸っぱくして申しておりますが‘PC上の14.5は15と機械側では表記される’ってのは知恵袋。常に緊張感をお持ち頂ければなと。

閑話休題。

パチスロ機の10年前のラインナップを眺めると現在とさほど違わぬ機種名が並びます。

当時のジャグラー系設置比率が27%程度に対し現在の比率が26%とシェア率が大きく変移していない点には北電子の思考、
いや、色んな意味を含めて「しこう」が見え隠れ。

ちなみに当時のART機の設置比率が68%程度に対し、現在のAT機設置比率は71%程度。
このあたりの機種構成における傾向も大きく変移していないのも興味深い点。

ちなみにユニットを伴うスマスロの設置比率は現在50%に迫る勢いとなっており、今後もこの流れは続くでしょう。

当時の30π機を除く機械の時間アタリ売上の中央値は6450円。時間アタリ粗利の中央値は1090円。
玉単価の中央値は3.26円。玉粗利の中央値は0.55円。
利率にして16%後半。

現在の30π機を除く機械の時間アタリ売上の中央値は6270円。時間アタリ粗利の中央値は885円。
玉単価の中央値は3.17円。玉粗利の中央値は0.45円。
利率にして14%程度。

当時のART機のみでの時間アタリ売上の中央値は6770円。時間アタリ粗利の中央値は1210円。
玉単価の中央値は3.42円。玉粗利の中央値は0.61円。利率にして17%後半。

現在のAT機のみでの時間アタリ売上の中央値は6560円。時間アタリ粗利の中央値は930円。
玉単価の中央値は3.31円。玉粗利の中央値は0.47円。利率にして14%程度。

時間アタリ売上や玉単価は遜色ないものの、少しばかり利益が取り辛いと字面だけからは見て取れます。

ただ、まあ、ハーデスとかがあった時代ですから比較してもアレですが、現在のパチンコ機における時間アタリ粗利を目の当たりにすると隔世の感は否めないのが本音。

ここまで10年前の同月データから比較をしてきたわけですが、掘り起こしたきっかけはスマスロが市場投入され始めた昨年11月から本年6月末時点で60機種となりこのタイミングで集計してみましょう!から。

ちなみにスマスロ60機種の時間アタリ売上の中央値は7090円。時間アタリ粗利の中央値は960円。
玉単価の中央値は3.58円。玉粗利の中央値は0.49円。利率にして13.7%程度。

ここでフと「確か10年前の5号機って1000円/30Gだったよね?」の確認作業へ展開してからのシークエンスチャンネル収録の中で業界人の嗜みとしてパーパスに触れた中でのよもやま話。

ハーデスで1000円/28.5G/4.2円、月下雷鳴で1000円/30G/3.6円といった当時の時代背景。

変遷のわかりやすい所でラブ嬢シリーズを紐とくと、2013年10月に導入開始され、今回の2014年6月期にも稼働中だった5.0号機 初代 ラブ嬢A1で1000円/32.6G/3.0円。2019年導入開始の6.0号機 Sラブ嬢2 L2で1000円/51.0G/2.2円。
2021年導入開始の 6.1号機 Sラブ嬢2 プラス L4で1000円/38.4G/2.7円。
晴れて2023年12月から導入された Lラブ嬢 3 M4で1000円/32.4G。コイン単価は3.2円。

10年前の数字を取り戻しつつある、取り戻したというのが現在の回胴模様。

しかしながら、当時、コイン単価3.9円以上の機械は全体の8%程度だったのに対し、現在では13%程度がいわゆる高射幸系機種。
スマスロだけに限って言えば26%程度がコイン単価3.9円以上といったラインナップ。

どの商売でも新期のお客様は簡単には増えない、増やせないもの。
近所にできたラーメン屋さんは開店当初は常時5~10人ほどの入店並びがあったものの、
今では暑さなのか価格なのかお味なのかはわかりませんがいつでもお席に御案内して頂けるといった状況。

近隣には土日となれば予約しなければラーメン餃子にありつけない創業60年、75年といった老舗中華料理店があるだけに心中お察しいたします。

さて、冒頭でも触れましたが、新規版権の遊技機化や新しい仕様・機能の市場投入はもちろん喜ばしい事。

どこまで敷居を下げられるかという点も真・スマパチに今後搭載される機種も増えるであろう新C時短によるパチスロ的なゲームフローや
等価分岐1000円/30回の“デカヘソ系”機種等々、敷居を下げる試みは始まっています。

とりわけ“デカヘソ系”の『1000円アタリ30回転』ってまさに回胴と同じ土俵の抽選試行回数となるわけですから。

機械側の思考錯誤が始まっている中、店側も何らかの動き出しを図りたいところ。

メーカー・ホールが一丸となり先ずはいま目の前のお客様の遊技機会、遊技時間を向上させる事が大切な事ではなかろうか
などと暑さにボーっとしながらパーパスへワシなりに思いを巡らせつつ、本稿は了とさせて頂きます。

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