月刊シークエンス新春号 「業界羅針盤」掲載コラム

「業界羅針盤」御愛読の皆様 明けましておめでとうございます。

2024年は辰年。私はと申しますと赤い色の衣服が似合う年齢を迎える事となるわけですが、
おっさんの戯言が羅針盤となっているのかどうかは甚だ疑わしいところもありますが、本年も宜しくお付き合いください。

さて、大学を卒業後この業界へ飛び込みかれこれ38年目へ突入。当時は1万7千軒余の産業規模だったと記憶しておりますが、
今や6,500軒余と若かりし頃には思いもしない状況となりこの歳にして産業規模の縮小に四苦八苦しているのが正直なところ。

長らく業界に携わって参りましたが、業界歴の中で最も危機的状況と身を持って感じたのは規制や何やらでは無くやっぱりコロナ禍。

業界における内的要因であればいくらでも対応できるのですが、世界が予期せぬあの様な外的要因による影響は経験した事がありませんでした。
この先何が起こるかなんてわかりませんが、一先ず本稿では2024年を進むにあたり、いま現在見えている事実、現実を中心に取り上げたいと思います。

そのコロナ禍の中に共に歩んだ検定期間を2022年末で満了し認定期間へ突入している遊技機のうち、
現在でも1,000軒以上で絶賛現役稼働中の遊技機はパチンコ機で22型式、パチスロ機は7型式あります。
パチンコ機ではPA海物語3R2F、パチスロ機ではSアイムジャグラーEX-TPが現役認定機の大将格。

昨年内に検定期間を満了した遊技機はパチンコ機142型式、パチスロ機58型式でした。これらも認定期間へ突入となりましたが、
こちらの大将格はP海物語EとSマイジャグラーVKD。

三洋さん、北電子さんありがとう!と、思わず口が滑りそうになります(汗。

そして2024年1年間を掛けてパチンコ機153型式、パチスロ機77型式が検定期間満了を迎えます。

パチンコ機で現在最も高い導入店舗率のPフィーバー機動戦士ガンダムユニコーンb、パチスロ機で現在最も高い導入店舗率のS押忍!番長ZERO PC1を筆頭に
80%以上の店舗で運用されているP新世紀エヴァンゲリオン15 未来への咆哮、Pスーパー海物語IN沖縄5LTV、Sファンキージャグラー2KTらが認定取得対象機種の中心となるのが本年の流れ。

例えば直近ですと来年3月に検定満了日を控えるPフィーバーパワフルIII-Fの後継機に、
デザイン一新!ヘソ1賞球&右打ちの新生PAパワフルSをパワフルⅢ下取り値引きと共に市場投入する三共の様に、
各社抜け目なく検定満了日をターゲットに代替えと成り得ると思われる新機種の投入を目論んでいる事でしょうが、
業界状況的には先に控える新紙幣対応はもちろん、ユニット等への設備投資が嵩む中、より効果的、
且つ、効率的な機械購入、機械運用を心掛けるのが必須となりますから、
余計な機械代費は極力抑え認定取得機種を含めて腰を据えた営業を求められるのがこの1年かと。

では、どの機械を認定取得対象としていきましょうか?

認定取得≒加えて向う3年の運用を視野に自店の状況に応じて御判断される事でしょう。

弊社では年会員向けに各機種の残り検定期間日数に基づき、現在の稼働状況(OUT)からパチンコ機で40%ダウン、パチスロ機で50%ダウンしたと仮定した時、
検定期間内、及び、認定満了日までにどのくらいの利益を生み出すか?といったシートを配信しておりますが、
この条件で、現在(12月3日基準)から認定満了日までに1台で新台2台分以上の仕事をしてくれそうな機械はパチンコ機で32型式、パチスロ機では17型式。

新台4台分以上働いてくれそうな孝行機械はパチンコ機で6型式、パチスロ機では2型式。

新機種はともかく、自称‘ぱちんこアナリスト’的には考え得る様々な視点で現在運用中の機械を評価しておりますが、やはり利益あっての営業というのがポリシー。

ただ、悩ましい機械もあったりします。

導入開始から126週を経過し検定満了日まで残すところ半年ほどとなっている導入店舗率の高い某人気パチスロ機。
この機械はこれまでの平均OUTが6,000枚以上という稼働的には大変優秀な機械。

しかしながら、検定満了日までに推計される機械代償却率(定価基準)は44%程度(等価換算)。

仮にこのままの稼働状況を認定満了日まで維持したとしても6年掛けても機械代は償却できない。こ
ういった薄利高稼働の機械は他にもいくつかあるのですがこの人気機種は1店あたり平均3台以上で現在稼働中。

比較するのは申し訳ないですが別の某パチスロ機種は検定満了日までに1台で5台分以上を稼ぎだし、認定取得後も絶賛稼働中なわけですから実に悩ましいと申し上げるのは御理解頂けるでしょう。

何れにしろパチスロ機の場合は6.5号機以降、遊技機能力が向上していますので6.5号機以前の特にAT機は徐々に設置店舗数を減らして行く事になりそうです。
とは言え、2022年で検定満了となった機種の中で1型式を除きパチンコ機もパチスロ機も設置店舗は存在しているわけですから、まぁ、焦らず気長に参りましょう。

パチンコ機に関してはこういった悩ましさはありません。

新機種のサイクルが早い分中古市場への展開が早いので、認定取得しても多くを望めない機種から検定満了及び故障等で設置店舗数を減らして行く事となりそうです。

装置産業の側面を持つだけに新機種(「自店では新台!」も含め)を活性化という意味でも入替しないわけにはいかないですが、
機械への視点・切り口は多いに越した事はありません。
商圏動向や戦術・戦略を伴う新機種購入はあっても、あまり先々の機械に振りまわされるのは大概にしたいと多くの業界人が感じた2023年…

とか書きながら、決まっている事に触れるとなるとこの3月よりラッキートリガー搭載機(以下LT機)の市場投入が始まる事に触れないわけにもまいりません。

現在時点で(12月18日)P LT OVERPACHINKO-ME@SANSEI R&D 、P G1優駿倶楽部 2 HT@コナミアミューズメント、P 緋弾のアリア~緋緋神降臨~LT搭載 FSZ@藤商事、P 北斗の拳 強敵 SSPA@サミー、P この素晴らしい世界に祝福を!199 LT@豊丸、P 天才バカボン7~福神スペック~LTH-JH@ダイイチと6機種が産声を上げる準備に入りました。
あと4機種ほど伺っておりますので3月のパチンコ市場は大LT機祭り開催!

仕様書を見る限り藤商事、SANSEI R&Dは少々ひねってきましたが基本的にはいわゆる‘上位RUSH’への突入契機という位置づけ。
初版権もあれば聞きなれた版権もあり、また確率帯も1/99~1/199とバラエティーに富んだラインナップ。

パチスロ機も決まっているだけで14型式の登場を控えていますしGWまでの計画は立てやすそう。

買い控えたいのはやまやまですが、市場の反応次第ではそうも言っていられなくなるくらいに盛り上がれば… 遊技者の反応が楽しみです。

懸念されたスマパチもe ぱちんこソードアート・オンライン K12@京楽.で流れが変わり、続いたe Re:ゼロから始める異世界生活 season2 M13@大都の高稼働で1/349への不安も払拭されつつある中これでe シン・エヴァンゲリオン Z@ジェイビーも安定した状態で越年し、LT機も受け入れられたとなれば…

いや、確実な事だけにしておきましょう(汗

それではご愛読下さる皆様にとって良き1年となりますよう祈念しつつ本稿は了とさせていただきます。