月刊シークエンス 4月号 寄稿文

「スマパチ最新情報から考える当面の展望」

桜と共に花粉舞い散る季節になってまいりました。Hay Fever …とほほ…
むず痒い目を擦りつつ前方を見渡してみますといよいよのゴールデンウィークが目に飛び込んできます。
今年のゴールデンウィークは5連休の塊に。4月29日から9連休というスケジュールを組まれる方もあろうかと思われます。
昨年は緊急事態宣言が発出されなかった事で各地の人出が大幅に増加したのを記憶しておりますが、
令和5年3月13日以降マスク着用は個人の判断が基本となり、また、海外からの入国者への検疫措置も緩やかになった事から
昨年以上の人出が見込まれる事となるでしょう。

業界的にはゴールデンウィークを迎える準備として新機種を取り揃えて集客・増客の起爆剤とするのが常ですが、
昨年のゴールデンウィーク前に市場投入された機種群はいかにも小粒といった印象でした。
しかし今年は!安定のジャグラーシリーズ4色はもとより、甲鉄城のカバネリを中心とした6.5号機群にスマートパチスロが加わったラインナップでのお出迎えとなります。

さらに!ゴールデンウィーク前にL 北斗の拳AD XR、L ゴブリンスレイヤー RDと2型式のスマートパチスロ、そしてS アナザーゴッドハーデス SLと、
鳴り物入りの機種が加わるのですからホール現場としては肩にチカラが入りまくるところでしょう。

パチンコでも同様に、いよいよ“e”スマートパチンコの登場となります。
当初、e 聖闘士星矢 超流星 EHTAとe ルパン三世 ザ ファースト H4YZ3の2型式のみの状況の時点では共に“P”型式が販売されていましたので
「様子見」といった気配が業界全体に流れていたわけですが、
e 新必殺仕置人 激闘 K6のホールプレゼンが始まると新筐体、新ハンドル、新デバイス、美麗液晶に空気が一変!導入に
前傾姿勢を取りなおした法人で押すな押すなとなったのは御愛嬌といったところでしょう。

少し冷静さを取り戻すためにe 聖闘士星矢 超流星 EHTAとP 聖闘士星矢 超流星 HTC15を手元にあるシミュレーションシートで比較してみます。
P 聖闘士星矢 超流星 HTC15の設計値上でのベース下限値は29。e 聖闘士星矢 超流星 EHTAのベース下限値は24ですので、
この2型式をベース下限値24に揃えてシミュレートしてみますと…

出玉率100%となる1000円あたりのスタート回数がP 聖闘士星矢 超流星 HTC15では19.1回に対し、
e 聖闘士星矢 超流星 EHTAでは16.2回という結果となります。
仕様自体に変更をあるもののスマートパチンコ化によって平均TYが約1100発上昇した事と
<Cタイム>の存在が1000円あたりのスタート回数を押し下げる要因となっているとザックリとではありますがシミュレートシートからは読み取れます。

スマートパチンコで確率分母が319から349となります。
当然の事ですが初当りまでの投資金額は17000円程度から21000円程度まで嵩む事になります。
それに見合う平均TYの上昇というわけですが、遊技者目線で言えば出玉率100%≒期待値0%での1000円あたりのスタート回数となるわけでして、
実営業では‘それ以下’のスタート回数での運用が視野に入ってきます。

昨今のパチンコに関し、以前から「ヘソ1-1/319 通常遊技時のスタートは回し難いけど右行ったらスゴイんです!仕様」の飽和状態に危惧している点を
当コラム内やシークエンスチャンネル内でお伝えしてきました。

スマートパチスロや6.5号機によって回胴市場は復活の兆しがありますが市場全体の遊技客数も増加・向上しているとはまだ言えないのが現況ではないでしょうか。

北斗やハーデスの投入で休眠層が掘り起こされ、初投入版権のゴブリンスレイヤーが新規遊技客層来店動機のキッカケとなり、
また、新デバイスを引っ提げて登場するスマートパチンコに「スマート遊技機はじまった♪」と注目が集まる事を期待したいと思います。

しかしながら光熱費を筆頭に物価の高騰で財布の紐が固くなっている中、遊技環境での言ってみれば値上げをどの様に遊技者が受け止めてくれるのか。
「回らないパチンコ」に嫌気がさし「朝イチCタイム」だけを狙って離席する遊技層が頻出しホール現場が荒れない事を願うばかりです。

予定通りのこの4月から“L”“e”揃ってのスマート遊技機のいよいよ始まりです。
店舗展開を含め、今後の業界の方向性が見えてくるそんな今年のゴールデンウィークと予見しつつ本稿は了とさせて頂きます。