月刊シークエンス新年号 掲載コラム

「2023年の展望」

2023年の初入稿となります。遅まきながら明けましておめでとうございます。
紅白歌合戦は知らない歌手ばかり… 年賀状もSNSでのやりとりへ様変わり… 歳を感じずにはいられない今日この頃でございます。

2022年の後半戦は6.5号機の登場で回胴復活の兆しが見え、待望のスマートスロットの登場に沸いた当業界。
本年はどんな展開になっていくのでしょう?という点に主眼を置いての本稿となります。

アナザーリノヘブン、ヴァルヴレイヴ、バキ、エリートサラリーマン鏡の4型式で始まったスマートスロット。年内納品分でおよそ6万7千台。
年を跨いでエリートサラリーマン鏡の分納を含めておよそ7万5千台での船出となりました。
これに既に割り振りの出ているバキの増産と、この原稿作成中では確定していないのですがヴァルヴレイヴの増産もあればそれも含め、
3月期までに市場投入の決まっている6.5号機8、9型式とスマスロ導入の影響を大きく受けなかった好調6.5号機数機種を柱に
スマスロ第2シーズンへ向けてこれらの機種体制での進行に。
現時点でL型式も1型式は既に検定取得済ですし、他に数型式の適合も耳に届いておりますので、回胴部門はますます順調に推移していきそうです。

ユニット供給問題解消を含め、概ねフォーラムで説明された通りの時間軸で動いていると受け止めれば、
自ずとホール側の体制作りに関する時間軸も歩調を合わせやすくなります。

2022年末時点でP-WORLD上では全国のおよそ47%のホールがスマスロを導入したわけですが、第2シーズンへ向かうにあたり、
現状非導入のおよそ53%のホールはどういった対応をとるのか?

既導入ホールは既設置L型式の入れ替えを視野にいれつつユニットの増設を進めるのか?新機種L型式の確保台数分をそのままユニット増設としていくのか?
再び様々な駆け引きが繰り広げられることでしょう。

導入した側の印象としては、非導入店遊技層へのマグネット効果は見られるものの、基本的には自店パチンコ遊技層を含めた店内移動が中心と感じております。
「メダルに触れないと…」とおっしゃられるお客様もいれば、「スマスロ打ったら楽でメダル機打てない」とい声もある中、トラブルも含めて運用に関する学習を積み重ねつつ、休眠遊技層の掘り起こしや新規遊技層の獲得へ取り組んで行こうというのが2023年と思っております。

パチンコに関しては昨年末からダイイチさんの直営店にて‘e’型式のフィールドテストも始まり、他に直営店を持つ京楽.産業、ニューギン、三洋あたりも
適合次第フィールドテストを実施すると思われますが、スマートパチスロに続き本格的な‘e’型式/スマートパチンコの市場投入開始を視野に…
というのが本年前半戦の流れとなりそうです。

しかしながら、ここのところ市場投入される機械は重量級TY・MTY機ばかりで射幸性に主軸を置いた、逆に言えば遊技者への負担強度の高い機械ばかり。
海物語系でさえ右打ちになる有様。大本営大海物語がヘソ1個賞球にならなかったのは救いでしたがそれでも高TYを視野に入れた仕様での市場投入。

個人的には一言でトレンドと片付けられない由々しき問題と感じております。
スマートパチンコにはこの辺りを打破・打開してくれるような新しいゲーム性、仕様での登場を期待せずにはいられません。

スマートパチスロの登場で市場は活性化しつつあります。
とは言え、機種の強弱も出始めているのは事実。また、遊技機性能と話題性だけでは稼働上昇につながらないホールを見かけるのも事実。

経営者判断でせっかく綱引きの綱を握らせてもらっても、ただ力任せに引っ張るだけでは勝てない事を運動会で子供のころから学んできたはずです。
綱引きは知力、体力、そして何よりもチームワーク。
‘スマスロ’の看板だけではなかなか増客につながらないという事を念頭に、既導入店は導入時のアピール手法や初期運用に関する経験と、
何よりL型式の遊技機性能を実感しているだけに第2シーズンへ向けて様々なアプローチを以って準備に入る事でしょう。

また、非導入店舗は非導入によるここまでの店舗への影響を分析し対応・対策を進めている事と思いますが、
先行利得は見て取れるものの何れにせよまだ始まったばかり。

日本工業新聞の記事中でマミヤ・オーピーの関口社長は「パチンコ業界は10年ぶりくらいの特需を迎えている。
今後機器は入れ替わっていく。3~5年くらいは特需が続くだろう」と語っている通り焦らずじっくりと腰を据えて取り組んで参りましょう。

入稿直前の遊技産業健全化推進機構への加盟店舗数は7,802軒。全日遊連加盟店舗内の営業店舗数はおよそ6,900軒。P-WORLDの登録店舗数が6,857軒。
この数がどこで下げ止まるかも2023年の焦点となりそうです。

前述の記事内で関口社長は「コロナ禍でパチンコ店の店舗数は減少が加速した。ただ、機器の台数は店舗数の減少とは比例していない。
小規模店舗が減り、店舗の大型化が進んでいる。」とも語っていますが、
≪コンビニスロット≫、≪ちょいスロ≫というWordの出願が公開商標広報で確認されているわけでして、
今後、どの様に業界は進んで行く事となるのか大変興味深い1年の始まりと思っております。

拙い文章に御付き合い頂いている読者の皆様の本年の御健勝を祈念しつつ本稿は了とさせて頂きます。