SH@CK視点の『新たな技術上の規格解釈基準が齎す市場変化』

新台不足が極まったGWが始まり、丁度一週間前の4月22日より新たな技術上の規格解釈基準に則った遊技機の持込が開始された訳だが、この変化がどのような市場影響を齎していくのかをいつも通り主観で書いていこう。

このサイトを閲覧されている方々は“熊さん”事[石川忍氏]や“POKKA吉田さん”事[岡崎徹氏]の記事もチェックされているかと思うので概要云々は今更の内容になると思うが確認がてら付き合って頂ければと思う。

今回の新解釈基準での変更点は①パチンコ【b時短(遊タイム)発動制限緩和】・②PS共通【コンプリート機能】の二つとなる。厳密に言えば6.5号機の緩和も全て当てはまる訳だが、1月17日からの持込にて適応されており、以前の記事で使用は触れているので今回は割愛させて頂く。

①については今までは【TSの2.5倍以上】であった発動回転数に対して【TSの1.5倍以上】へと緩和された訳だが、現市場での【c時短】同様に今すぐ影響を齎す事は無いと思われる。これは双方の【bc時短】共に見た目のTSと実TSとの乖離を大きくする仕様であり、乖離が大きくなればなる程に見た目上に出玉性能が非常に落ちるのでニーズが上がり難い性質を持っている為となる。本緩和についても【c時短】についても以前の記事で触れた通りに、スマートパチンコで活きてくる可能性がある機能となり、既にスマートパチンコに於いて【TS1/350】は承認されているようだが総量向上の話は今の所耳にしておらず、【bc時短】によりゲーム性を豊かにした上でスロットAT系の確率表示同様に“均しTS319”としてリリースする事で活かす事が可能となる機能と言えるだろう。現在2023年1月でのリリース予定となっているが、世界的に諸々が不足している中では数年に渡り延びに延びているリリース予定の背景は悪化している様にすら感じるので、リリースに向けてはまだ状況を見定める方が無難と言えるだろう。

そして、②の【コンプリート機能】については、詳細仕様こそ未だ明かされてはいないが業界始まって以来の“プログラム的な完全打ち止め機能”の事を指しており、ある意味本機能だけで“管理遊技機”の体を成してしまうのではと思う。厳密言えば、スマート遊技機の管理は役比にも及ぶものらしいので管理する分野が若干違うのだが、出玉のリミッタと言う点では何よりも強い射幸性を抑止する機能と言えるだろう。取り敢えず今回のリミッタ値については、業界人はいざ知らず、ユーザーレベルまで広く周知された高射幸性の代名詞となった“2万枚機”に準じた“2万枚×20円=40万円”で設定されている。パチンコは95,000発・スロットは19,000枚と交換38万円相当にて遊技台が停止するものとなっている。この数値に関しては、様々な意見がある様だが、完全に【規制】であるのは間違いない。そもそもこの【コンプリート機能】を付加する事になったのは2021年4月よりリリースされ始めた“総量計算の見直し”により、圧倒的な出玉性能を有したパチンコ機が軒並み10万発を超える出玉を放出した事が起因となっているのだと思われ、漸く市場から「ミリオンゴッド凱旋」「サラリーマン番長」「まどマギ」などの高射幸性機が撤去されたにも関わらず、二の矢の如くパチンコで高射幸性機認定を受けるような機種が市場設置されたのだからバツが悪過ぎるにも程がある。ましてやコロナ禍によるトレンド変化に伴い時速出玉を追求された遊技機性能を有しているのだから、スロットは純増制限があったので2万枚出すには早くても7時間以上を有するのに対して、今回のパチンコは2時間程度で到達してしまうのだから射幸性は比ではなく、本件機能が付加されるのは当たり前の事と言えば当り前である。

そんな【コンプリート機能】について、様々な意見の一つとして“到達率の低さにより影響が少ない”と言うのがあるが、個人的な見解とは少し異なっている。事、パチンコに関しては到達の可能性が性能的に十二分にあるという点に加え、到達に満たないまでも先が見えている機種を打てる許容範囲は個人差にもよるが絶対的に存在しているという事。端的に“残り何発あれば支障なく打てるか?”と言う事であり、95,000発以前からユーザーのブレーキは掛け始まるという事だ。過去に自身で獲得した事のある玉数よりも残り玉数が割った時点で“損”を意識し始めるのが心理だろうし、敢えてその台を打つ理由が無ければ打たないだろう。そう言う点では店舗全体で考えれば影響は少ないのかもしれないが、一番問題なのは新台等のニーズの高い機種となり、十分に台数を有しているのならば心配はないのかもしれないが、低台数であった場合はその限りでは無くなる。仮に1台の導入であった場合、ピークを待たずして台が止まる事や打ち難い状況になった時には入替という企画が倒れてしまう。正直、この機能が付くと知った時には真っ先に日工組メーカーが2台以上で新台を購入させる為に付加したとすら邪推してしまった程だ。実際に新台購入店舗が大凡5000軒と言われている現市場で5000台を下回る販売機種も多くある事から、低台数の新台入替店舗は少なく無い状況となり、更なる二極化が進む懸念すらある。当然、この規制により他の緩和を引き出す将来性もあるので、一概に言えた事では無いが、途轍もなく大きな規制である事は間違いなく、この不安が杞憂で終わるならばそれに越した事はないので向き合い方に念を押しておく事は無駄にはならないだろう。

但し、スロットについては既に“6.5号機”と言われるものの【緩和】を得た上でのものなので、十分にお釣りがある状況と断言できる。詳細については冒頭で触れた通りに以前の記事でも触れているので割愛するが、既に多くのリリースが決まっている状況で注意すべきは“全ての台が良くなる訳では無い”と言う事だ。6.0号機から6.3号機のスマスロ有利区間無制限を除いて、6.1・6.2・6.4と何段階にも渡り緩和が進められてきた訳だが、率直に稼働は上昇傾向にはなっていないのが現実である。実際に現スロット市場を牽引している「バイオイービル」「バジ絆2」「リアルボーナス機」は全て6.0号機内規となり、「番長ZERO」もほぼ1500G完結である6.1号機仕様となっている。6.2号機内規で作り込めている機種で言えば「沖ドキDUO」「アラジン」の2機種程度となっている。同内規であっても開発力が無ければ決して好転する事は無く、6.5号機のウリの一つでもある差枚分放出についてはシステム的にユーザーの引きが強ければ大出玉の放出はどのメーカー機でもあり得るのだろうが、主観にはなるがプログラム的に差枚を含めた大出玉を出す事は “ユニバ”“サミー”“大都”の3メーカーしかノウハウは有していないとすら長い歴史から感じてしまう。そして、【コンプリート機能】の件で言えば、そもそも新規則機で19,000枚を一日で放出した事実をSNS含めて見た事があるかというレベルになり、過去に「チバリヨ」や「怪しげなリノタイプ」で近い枚数が放出されたなどの噂を耳にした事がある程度で現時点での影響は殆ど無いと言える。但し、6.5号機の性能が向上したことによりリミッタの発動の可能性が見えてくるかもしれないが、そもそも今まで出る事の無かった規模の出玉が出るのならば魅力にしかならないだろう。そして、この新規則では見た事の無い規模の出玉と言う点では、完全確率の割には不自然に出ていなかったというのがポイントとなり、パチンコは規制の対象となるラインを実際に超えてしまった事がリミッタ付加へと繋がったのだろうが、スロットにリミッタを付加する必要がどこにもないと言う点である。遊技機開発に於いて明記されないルールなど幾らでもあり、スロット高射幸性機で一時代を終焉させた手前、出率以外に申し合わせレベルの内容で出玉規模の制御も当然あるだろう。今回のスロットリミッタはあまりにも不自然であり、今までの出玉規模も不自然とくれば色々妄想が広がるだろう。我々が知っているメーカー解釈ならば【19,000枚以上出してはならない=19,000枚なら出して良い】となるのだからこれからのスロット市場の発展は十分に期待して良いと感じている。

と、陰謀論的な内容も含めて、新たな解釈基準の可能性をお届けした。またもや実営業に使えるネタにはなり難い内容ではあったが、【パチンコ規制】と【スロット緩和】を認識して頂き、【パチンコ中古購入】【スロット中古売却】など実務へ繋げる可能性を説いたものだと受け止めて頂ければと思う。

それでは、またの機会に