SH@CK式e機(スマパチ)所感

今回は4月からリリースされるe機(スマパチ)について、いつも通りに主観にて語って行きたいと思う。

e機に触れる前に今のパチンコ市場の流れについて触れておきたい。
パチンコ市場は規則改正以前にMAXタイプの確率及び総量規制が行われ、後に下限ベースとRUSH継続率規制など非常に大きな規制を掛けられていた。そして、規則改正後はT1Yの規制こそあったが、ベース・継続率・時短・総量計算と非常に多くの緩和が行われ、旧規則機に依存する必要の無い遊技機リリースが叶った。それにより旧規則機撤去と共に大きな落ち込みを見せたスロットとは逆にパチンコは「エヴァ15」「Reゼロ鬼」のおかげもあり、5号機初頭以来十数年振りに業界全体の高貸遊技時間はパチンコがスロットを上回る結果となった。しかし、スロットは6.5号機リリースを皮切りに市場が一変し、更に同年11月からリリースされたL機(スマスロ)にてスロット市場は大いに盛り上がりを見せ、旧規則機撤去前と遜色ない程の市場へと成長した。勿論、スロットが盛り上がった分がそのまま業界全体の盛り上がりに繋がる訳も無く、業界全体の規模に大きな変化は無いのでスロットが減った分はパチンコが増え、スロットが増えた分はパチンコが減っている状況となっている。

《遊技時間比率:業界全体》※低貸レートで残り%
[4円パチンコ]
2021年8月29.4%⇒12月30%⇒2022年1月31.1%⇒2月31.7%
⇒6月31.5%⇒7月31.3%⇒8月31%⇒11月28.6%⇒12月28.5%
[20円スロット]
2021年8月33.0%⇒12月33.3%⇒2022年1月32.8%⇒2月30.9%
⇒6月28.7%⇒7月30.6%⇒8月31.1%⇒11月33.3%⇒12月35.1%

もう少し遠回りをするが、L機自体も話題性による初動こそ大きかったが、幾度となく伝えてきた様に“同じ6.5号機”となる事からS機の6.5号機と大きく変わらない結果となりつつある。4月に「L北斗の拳」がリリースされ、L機がまた息を吹き返す可能性は大いにあるだろうが、これは“L機だから”では無く“サミー機だから”と認識した方が適切だろう。有利区間のシームレスを用いた遊技機開発もサミーは「Sアラジン」「Sカバネリ」と大ヒットを収め、ユニバは「S沖ドキGOLD」で「S沖ドキDUO」をも上回る高実績を残し、大都はたまたま「L鏡」が初のシームレス機となり、いつもの供給過多は否めないが良い実績を残している。そもそもシームレスを用いないでも「S頭文字D」「Sドリフターズ」「Sこのすば」「S新鬼武者」「Sバイオ」「SReゼロ」「S番長ZERO」と6.4号機以前の内規で開発された機種で高実績を収めているのは内規以上にメーカー自体の開発力によるものが大きいのは言うまでもない。今でこそ三共や藤商事がL機でスポットが当たっているが、この三大メーカーが同じ土俵で戦って負ける可能性は殆ど無く、他メーカーのスロットはL機だろうが一時しのぎとして対応する方が賢明であるだろう。2022年のPS合算の全機種実績を見てもこの三大メーカーと付き合っているだけでロスの少ない営業が成立する結果となっている。

《L機推移》
[2022年12月上旬週]※「L鏡」導入週
20Sスロット客数比率約15.2% 高貸客数比率約8.2% 20Sスロット支持率約242.2%
[2023年2月最新週]
20Sスロット客数比率約10.9% 高貸客数比率約5.6% 20Sスロット支持率約129.4%

《S機推移》※スロット全機種ランク100位内機種
[2022年12月上旬週]
20Sスロット客数比率約21.2% 高貸客数比率約12.1% 20Sスロット支持率約118.5%
[2023年2月最新週]
20Sスロット客数比率約30.4% 高貸客数比率約16.4% 20Sスロット支持率約130.4%

と、いつも通り前置きが長過ぎる感じになってしまったが、管理遊技機に全幅の信頼を寄せる事は危険だという事が伝えたかっただけであり、パチンコは厳しい状況にあると言う認識の下で本題のe機について触れていこう。

率直にe機はL機よりも明確な差があり、それはTSが320から350へ低く出来る点となり、総量自体は内規上変更がないのでRUSH性能は大きく変化を与える事は出来ないが、TY値に乗せる事は可能となっている。
このTS30と言う数値は仮に千円分岐15回の性能ならばTY値で約500個の上昇が見込めるものとなり、例えば現行機の初当りALL1,000発の性能ならばALL1,500発へ上げる事が可能という事だ。これはRUSH突入率でも時短でも役比等の制限内ならば何にでも転換可能となる。勿論、特殊時短によりTSへ転換する事も可能である。

そして、e機の新たな機能としては“Cタイム”の付与が許されており、この“Cタイム”がどの様なものかと言うと、端的に言えば“c時短”である。うろ覚えな情報で申し訳ないが、過去にabc時短の緩和があり、今回がd時短では無く“Cタイム”と名付けられている由縁はc時短の派生だからだった気が…まぁ由縁については、他の有識者の方にお任せして内容について触れていこう。前述した通りに端的に言えば“c時短”という事なのだが、要は決まったゲーム数で“c時短”を発動させるものとなっており、その決まったゲーム数によっては“b時短(遊タイム)”に近い役割でもあると言う事にある。内部的な仕組みとしては、「eルパン」のスペック表にもある通りにCタイム抽選は1/1で行われる訳だが、仕組みとしては“Cタイム=RUSH”と言う訳では無く、Cタイムの抽選が行われた場合は100%で時短“には”当選するが、“電サポ”とは限らないというだけである。今回の場合は約20%程度で“電サポ(RUSH)時短”に当選し、残り80%は“微時短”という、言わば通常状態と変わらない内部時短状態に当選しているだけの事である。昔ながらの感覚で言えば“電サポ=時短”という方も少なく無いだろうが、今は内部時短により抽選方法に変化をさせるケースも少なく無いので、新たな状態として“微時短”たるものを付与したのではないかと思う。そして、このCタイムは通常状態且つハズレ当選時に抽選を行う性質があるので、RAMクリ後や状態終了後の1G目に抽選が行われ、“電サポ(RUSH)or微時短”の何れかの時短状態に突入する仕様となっており、何れの時短も1,300回程の時短が付与され、“電サポ”ならば2種抽選により当確濃厚で途中当選後にRUSH状態へと移行し、“微時短”ならば規定時短回数で当選が叶わなかったら通常状態へと戻るので、再度Cタイム抽選を受ける仕様となっている。

これが新機能かと言われれば仕様としては、遊タイム機導入初期にもあった「Pリング」「P真牙狼」や最近では「Pゴジエヴァ」にも搭載されていた、RUSH中の時短回数終了後の残保留でのみc時短抽選を受けるものとやっている事自体は変わらない。但し、TSが低くなった分、引き戻し率の向上やモードTYを向上させる事には繋がってはいるので機能に真新しさは少ないが、性能は向上していると言えるのだろう。

結局の所、このTS30に対価として魅力のある還元になっていればユーザーニーズは発生するだろうし、そうでなければ厳しい結果が待っているだけなのだが、このCタイムのRUSH終了後1回転が約20%でRUSH引き戻す性能がTS30の対価として相応しいかだけである。ユーザーはパチンコスペックを“TS”“突入率”“継続率”“T1Y振分”の4つの数値でしか測る事が出来ず、出玉速度を含めたその他の数値は遊技しなければ分からない状況にある。現在は「Pエヴァ15」「PReゼロ鬼」の出現により、リリースされる機種は所謂“甘い”ハイスペック機ばかりとなり、判断する数値はどれも同じようなモノばかりとなってしまっている。その点を考慮すると4月リリースのe機は“継続率”は【85%】となるので、数値的には現市場機の性能を凌駕している様に取られる可能性はあるのだろう。但し、ユーザーは4つの数値だけで遊技機機種を決めている訳では無く、勿論“打感”という点が大きく遊技意欲に影響を及ぼし、“RUSHタイプ”なんかは大きく影響を与えているからこそ、現パチンコ市場では他機種よりも性能が低い「Pエヴァ15」「PReゼロ鬼」がロングセラーとなっている。

4月リリース機で言えば、「e聖闘士星矢」はRUSH性能数値こそ他機種を凌駕するのだが、肝心な“打感”に難がある。これは昨年末にほぼ同じ“打感”の遊技機としてリリースされ、既に出ている結果が物語っている。逆に「eルパン三世」は“打感”こそ悪くないのだろうが、RUSH性能は現行機と変わらないレベルに留まってしまっている。そもそもの話にはなるが、このCタイムのRUSH終了後に左打に戻して1G目に約20%で引き戻すという“打感”にニーズがあるのかと言う問題が強くある。そして、現在のL機にも発生している問題ではあるが、仮に導入してニーズが無かった場合に商品の入替が安易に出来ないリスクもある。

ここからはいつもの陰謀(妄想)論にはなるが、今回のこの2機種はメーカーとしてもリリースした訳では無く、日工組の兼ね合いで出さざるを得なかったとも耳にしている。これは昨年夏の参議院選挙での敗北から管理遊技機を出さざるを得なく始まった11月のリリースがあり、スロットは話題性で何とか形にはなった節がある。そして、パチンコも当初からリリース時期として宣言していた今春にリリースと相成った訳である。但し、個々に至る直前の動きは非常にキナ臭い点が多くあり、元々はスロット同様に足並みを揃えて複数機種のリリースを目指すと言う流れの中で日工組から異例の通達が出されている。その通達内容は“メーカー個々での随時リリース”と言ったものとなり、通達時期は「L北斗」の展示会が開始されて非常に盛り上がりを見せていた時期となり、管理遊技機の大きな問題であるユニット争奪戦が決する勢いであった。その状況下で日工組の理事である京楽としては未だ「e仕置人」が適合を受けておらず、発表しように出来ない状況から少しでパチンコにも意識を向けさせてユニット争奪戦に横槍を入れたかった為の通達だと感じてしまう。複数機種のリリースも叶い、「e聖闘士星矢」「eルパン三世」の様な焼き回し機とは異なり、最新機種の「e仕置人」にてスマスロで非常に大きな恩恵があった“話題”を全て搔っ攫おうとしている様に感じる。三洋・平和を噛ませ犬にまでして理事長特権活かした豪胆さが、『下限B緩和:PAセブン』『遊タイム:ライダー轟音』『総量見直し:GANTZ極』を先駆けてリリースして言う程の結果になった過去とは異なり、市場牽引出来る程の機種リリースに繋がる事を願いたい。

個人的にはTS30の対価は幾度となく発信して来た通りに、“設定”“遊タイム”“突然時短”と何一つ残っていない事を考慮すれば、前述した通りに判断基準となる4つの数値に直結する初当りに付与する事が市場ニーズに合っていると考えている。正直「eReゼロ鬼」で仕様はほぼ同じで通常当り後に数十回転のRUSH(時短)が付与されるだけでまたガッツリ購入しなければならない状況が安易に想像出来てしまうので、スロットに注力したい状況下では暫くは“Cタイム”の開発でパチンコは暫く迷走してもらいたいというのが本音である(汗