月刊シークエンス9月号コラム【業界羅針盤】より

「お盆期間の振り返りと年末へ向けて」

夏の風物詩でもある甲子園大会も終わる中残暑お見舞い申し上げます石川です。
さて、本稿では今期お盆期間を中心にまとめてみようと思います。

2024年お盆前はeフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン2 R&S、e北斗の拳10 GHEGを中心に5型式、およそ9万数千台が市場投入。
回胴はLゲゲゲの鬼太郎 覚醒JC等4型式、およそ2万5千台余の市場投入での進行。

2025年は7/7から導入の始まったLT3.0+からのe牙狼12 XX-MJを中心に9型式、5万数千台。
回胴はLダーリンインザフランキスSA等6型式、およそ4万台弱を携えての進行となりました。

パチンコ機はGW以降“デカヘソ”のリリース増加が特徴的。今後もこの傾向は続きそう。

パチンコ機では昨年1年間に初期段階で全体の6割以上の店舗へ導入されたのは17型式。今年はこの8月までで9型式。

回胴では昨年21機種に対し今年はここまでで13機種。適合率もありますが、回胴への予算配分を増やしているというよりはパチンコ機への資本投下を抑えているというのが実情か。

向上しない適合率は市場の活性化という点には影響があるものの、ホール運営においては却って利があるというのはワシの心の声。

8月にして既に年末へ向けてホールへ影響力を及ぼし始めている機種がひとつ、ふたつ…と出ている中、12月の機械って随分と気の早いお話で…。

閑話休題。

昨年のお盆期間該当週は8/12~8/18週。今年は8/11~8/17週。OUT総量ではパチンコが前年比92.6%で7.4%のダウン。

回胴は前年比103.3%で3.3%の上昇。

パチンコのダウンはその後の稼働推移がどうあれ、導入台数の多かったガンダムユニコーン2 Sと北斗が共に35000超えのOUTがあったのに対し、今年のお盆前に2万台以上導入された機種は牙狼1機種だった点、回胴は前年より新機種の型式数も導入台数も多かった点を考慮すれば、今年のお盆期間はどちらもほぼ前年並みと見ております。

興味深いのは前年と今年の平均玉単価、玉粗利の比較。OUTはほぼ維持している状況でパチンコ機の玉単価は前年比103.7%、回胴は102.5%とどちらも上昇。

玉粗利ではパチンコ機は前年比98.6%、回胴は94.5%と、こちらはどちらも下降。パチンコ機は玉単価の上昇でかろうじて前年と同様の利益確保といったところですが、回胴は利益面では少々厳しい状況だったのかなと。

いよいよ回胴の総台数がパチンコ機を上回った市場環境の中、LT3.0+の登場に、荒い機械ばかりで毎日冷や汗で大変といったお話を多く耳にしますが、安定とは言え低利の回胴島増床へ今後も傾倒していくであろう業界思考となれば、全体利益の確保という点で今後もパチンコ機の厳しい運用が続いていく事になろうかなと。

ましてや、「○月予定のL○○○2の販売計画が○万台です。で、今度のe○○○が○万台でーす(テヘペロ 」や、「まだ適合していませんが、年末にe○○○17を予定してまーす(テヘペロ 」などとプレゼンされつつ思考停止導入した機械を大事に使おうと思うわけもなく… 

「これはっ!って自分たちで良さそうだと判断して導入した機械がここ数年… 無い(泣… 

全部まだ見ぬ機械のために買わされている気が…」と、支援先の店長と喫煙室でため息をつく日々…。

8月9日に行われた「みんなのパチンコ・パチスロサミット2025」では東京1日開催にも関わらず入場規制が行われるほどの盛況だったわけでして、斜陽産業と揶揄されてはいるものの希望の灯はほんの少しでもゆらめいている事が見える中、このご時世、設備投資の嵩むホールへのプレッシャーはいかがなものかと。

愚痴ばかりになってもいけません。

近年新規版権の機種投入が続いています。河内屋菊水丸登場から幾年月。エヴァンゲリオンはなんと20周年。

講談社、集英社等、連載中にも関わらず続々と遊技機化の昨今。〝版権こすり〟ばかりではなく、還暦過ぎたオジサンではついていけない遊技機版権環境は喜ばしいところ。

紙媒体自体は厳しいとは言え電車内では携帯でコミック系サイトを開いている方は老若男女を問わず多数。

同様にABEMAやTVerの視聴も日常となっておりますね。携帯を見ながら街中を歩く人や日傘を使う人の多さは10年前には想像ができなかった。

キーワードは多様性。

高射幸機⇒ライト帯⇔ライトミドルのリリースで〝版権こすり〟が繰り返され続けた遊技機環境でしたが、ここ最近は版権ターゲットに寄り添った仕様でのリリースもチラホラ。

そんな意味合いではブルーロックの稼働には逆に注目しております(汗。結果次第では各メーカー開発の総量への考え方が変わってくるかも(苦笑。

そのリーディングカンパニーである三共グループが <KUGITAMAプロジェクト>の発信を開始しました。

作っているんですって♪ハ・ネ・モ・ノ♪

市場投入となれば同グループからは2019年にリリースされたPスカイレーサーDX以来となるわけですが、‘おだてブタ2’、‘ファミリースタジアム’と継続して結果はついてきているこの“ハネモノ”。

ファインプレーの受注も好調と伺っておりますし、トキオや富士山を加えれば往時とまではいかないものの4円島の一角に玉単価1円以下のコーナーを醸成できそうな流れが見えてきた。

ひょっとして4円パチンコの立て直しはLT3.0+に頼ってばかりではなくこのあたりに光明があるのかも!?

などと思っております。とは言え、前述の通り限られた予算の中での導入計画となるわけでして、そうは思ってもなかなかどうして…

などと結局愚痴になりつつ本稿は了とさせていただきます。