月刊シークエンス9月号 【業界羅針盤】より

「デカスタートと年末へ向けてを徒然に」

毎日暑い日が続きますがどうか皆様ご自愛ください。さて本稿ではお盆期間の営業を眺めつつ徒然と。

スマパチ北斗の拳10の稼働結果が今後どうなって行くのかは神のみぞ知るところですが、
スマスロ北斗と同様にスマパチ北斗10も工場出荷式が執り行われた機械だけに頑張って欲しいところ。

期待の高さは8月17日時点でのP-WORLD上で、e北斗の拳10GHEG 導入に合わせて
新規にスマパチユニットを導入したホール軒数は全国で280軒余あるところからも伺えます。

ユニット保有店舗数がこの時点で7月号の当コラムで予想した通り全国で4000軒を超えました。

翻ればユニット未導入店舗数は現在2000軒余と言う事になります。

【スマパチ×LT2.0】WEB CMが始まりましたが、9月以降に登場するe 仮面ライダー 電王 KL12、e キョンシー M5-VC、e ゴッドイーター トリプルバースト MJの
3機種か~ら~の~年末へ向けて市場投入が決まっているe 乃木坂46 ⅡK4、e からくりサーカス 2、e 大海物語5スペシャル ELTA4等々に加え、
多分待機中であろう“真・スマパチ”からスマスロ北斗級のHIT機種が出てくればスマスロと同様にユニット普及の流れも見えてくるのですが
状況的にはe Re:ゼロから始める異世界生活 season2M13の壁はなかなか高そうな気配。

そんな中、前評判とは裏腹に“デカスタート”P貞子FMD、eフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン2 R の2機種の稼働が好調。

共に全国で1200軒ほどの導入状況ですから騒ぎ立てるのは控えたいところではあるのですが、
実際にお盆期間中ホールで遊技者動向を見ていますと“デカスタート”は十分な着席動機にはなっていると感じる次第。

過去機でも2020年にP牙狼コレクションMA、2022年P牙狼MUSEUM-MAが“デカスタート”でしたが、牙狼MUSEUMは貞子やeユニコーン2とは違い、
下限ベース値23にして100%分伎は1000円あたり37回というお辛いシロモノで、しかも確率幅の大きな設定付き。

3000台程度の販売台数にして最大導入店舗率は全国で32%程度と概ね“リレー”発動対象機種。

稼働結果は御存じの通りではありますが導入開始から2年を経過しても未だ10%程度のホールに残存している事から“デカスタート”にはそれなりの訴求が伺えます。

支援先にはワンチャンあると信じて貞子、eユニコーン2共に導入を推奨。結果、ビッグデータ同様の推移で絶賛稼働中でございます。

推奨理由は“デカスタート”のキャッチーな部分だけでは無く、ワシなりの機種評価があってのもの。

特にeユニコーン2は通常変動効率に工夫が見られた点は高評価。

前月の当コラムでも触れましたが、業界的に回胴式 > パチンコ機の構図となっている昨今、ワシ的にもパチンコなんとかせにゃならんと考える事が多い日々。

で、回胴とパチンコの違いについて考えてみた時、回胴はリプレイ込みとは言え1000円あたりの抽選試行回数は概ね30回。

6.5号機以降の機種の設定1におけるAT抽選確率の中央値は1/390程度ですから昨今のハイミドルの1/349や1/399といった抽選確率と
大きくかけ離れているわけではありませんが、1000円あたりの抽選試行回数はパチンコ機では回胴の半分くらいしか無いのが現状。

“デカスタート”2機種はここで回胴へ1歩近づけるというのが持論からの評価展開です。

今後はここに新C時短による回胴的なCZ表現やLTによるいわゆる上位ATを搭載可能となっているわけですから、
懐かしのパロットでは無く、非常に近い将来、パチンコ機によるパチスロ的なゲーム性の再現が可能になるのかなと見ております。

現在スマパチの台数はパチンコ機全体の10%程度といった導入状況。来夏までにどこまで伸びて行くのか注目しております。

ちなみにスマスロ。
8月時点で4000軒以上に導入されている機種は14機種あり、導入開始から20カ月に満たない中でスマスロユニット導入店舗は全体の90%以上に。

低調な適合率の中ですが型式数も60を超え回胴全体の50%を上回る設置台数という状況。

とは言え、スマスロ全てが正義という事でも無く、ユニット内での新台入れ替えが日常となっており、
更なるユニット増設工事が必要と思える様な機種の登場が待たれるところ。

検定切れを迎えた6~6.4号機を押し出す形で低貸し島へ能力上位の6.5号機やスマスロの流入が始まり、
低貸し島の活性化がムーブメントとなっている今日この頃。

パチンコ島から回胴島への転換を図るホールも多くなってきていますが、店舗の利益バランスには注意が必要。

回胴全体の利益率の中央値は現在14%程度。L型式のみの利益率の中央値は13.6%程度。

対してパチンコ機の利益率の中央値は18%程度となっており、回胴を増やす事で利益パチンコ依存の更なる歪みが生じる可能性は否定できません。

パチンコ機の時間売りの中央値が10,000円程度に対しスマスロの時間売りの中央値は7,000円程度。

パチンコ機の時間粗の中央値が1,700円程度に対しスマスロの時間粗の中央値は1,000円に届かないというのが現在地と8月号の当コラムで触れましたが、
現在のホールにおける稼働状況には目を瞑り、“15%以上の利率が安定的に見込めるスマスロ機種”をザッと洗い出すと
7月末までに市場投入されたスマスロ62機種の中でおよそ2/3の機種が15%の利率を安定的に維持できないとなれば、
実は今日の明日の営業にも歪みが出ている可能性が見え隠れ…

『専用賞品』を導入したホールが“パチスロ専用賞品導入”により交換率の見直しへシフトするのはこのあたりのバランス調整と見ております。
特に等価地区ではこの流れは今後も続くのかなと。

“このあたり”が気になるので、先月の当コラムに引き続きジャグラー系の10年前との比較をもう少し掘り下げてみます。

2014年6~7月のジャグラー系台数シェア率は25.6%。2024年6~7月の(SミスタージャグラーKKを除く)ジャグラー系シェア率は25.0%とほぼ変わらず。

10年前の同時期では16型式がホールに設置されていたのに対し現在は(まだ全ての購入ホールへ導入されていない状況なのでSミスタージャグラーKKを除く)6型式と型式数は大きく減少し、当時よりシェア率は若干下がってはいるもののジャグラー系全体の設置台数は増えているといった状況。

で、当時、アナザーゴッドハーデス-Xが11%程度、バジリスク絆TKが14%程度での運用という時代背景の中、
ジャグラー系における運用利率は13%程度だったのに対し現在は14%超えでの運用となっております。

現在最も導入台数の多いL パチスロ北斗の拳AD XRや最も導入店舗数の多いS パチスロ甲鉄城のカバネリ ZRあたりが
共に10%に満たない利率での運用となっているわけですから然もありなん。

海シリーズにも触れておきましょう。
当時のホールに設置されていたラインナップは22型式に対し現在は21型式とこの10年で特に変化は見られません。流石の三洋(笑。

しかしながら台数シェア率は当時がジャグラー系同様全体の25%程度だったのに対し現在は19%程度と大きく落としています。

当時のパチンコ機利率中央値19%程度に対し海シリーズ22型式(甘からMAXまでひっくるめての)全体の運用利率中央値が13%程度。

現在ではパチンコ機利率中央値18%程度に対し海シリーズ21型式(甘からMAXまでひっくるめての)全体の運用利率中央値が17%程度に大きく上昇している所にも多機種構成化以外のシェア率下降要因が見て取れます。

10年前はシリーズ22型式中4型式が利率10%以下での運用であったのに対し、現在では1型式のみ。

加えて10年前ではお目にかかれなかった海シリーズでの利率20%運用機種もちらほら。

その10年前の海シリーズ運用利率に取って代わったのはEVA15&シン・EVAとRe:ゼロseason2。

お盆期間の営業へ向けてシン・EVA、鬼がかりの中古機導入店舗数はなかなかの数だったわけですが、
8月から本格導入が始まったミスタージャグラー以降もS ウルトラミラクルジャグラー KT、S ネオアイムジャグラー EX-KKの2型式が既に検定取得済。

海シリーズにおいてもP 大海物語5スペシャル ALTA、e 大海物語5スペシャル ELTA4の2型式が検定取得済と言う事で、花形機種が花形のうちに、足元を固めるにはひと昔前に御世話になった機種の運用を見直してみる良いタイミングではなかろうかとジャグラー系と海シリーズを取り上げてみました。

年末へ向けて本格化すると思われる“真・スマパチ”投入開始で潮目が変わる事があろうかなかろうかと熟思しつつ本稿は了と致します。

<参考資料>
設置シェア スマパチ e LT機 P LT機 ジャグラー系 スマスロ
2023/12月末P-world登録店舗数 6276軒 7.65% 0 0 25.64% 36.96%
2024/4月末P-world登録店舗数 6141軒 7.75% 2.90% 5.89% 26.12% 45.42%
2024/8月末P-world登録店舗数 6015軒 11.87% 53.75% 14.89% 26.48% 51.33%

※ジャグラー、スマスロのシェア率は30π機を除く25π機全体における概算数値