『検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機の撤去について(要請)』

11月6日の警察庁丁保発第196号『検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機の撤去について(要請)』。

もの凄かった箝口令も、正式な通知文章が出ましたので一応解除。
ということで、経緯と今後について書いてみようと思います。

5月に警察庁から依頼され、健全化推進機構の遊技機性能調査が始まったのは6月。
最初は、どうも、「くぎを曲げてワザと入賞を阻害しているホールが悪い」だった空気感が、「?」となったのが日遊協のコンプライアンス勉強会あたり。
6月、7月、8月の性能調査結果は機構から発信されたのに、9月、10月の調査結果が発信されないという様に変わったわけですが、「改善がうかがえない」、「調査対象の約6割が一般入賞口に玉がまったく入らず、残りの4割も10分間に10個も入らない」という状況の性能調査の過程の中で、「くぎを目視でわかるくらい曲げないと、入賞しない遊技機」が確認されることとなるわけですから当然といえば当然。
ここが最初の潮目。
「メーカー出荷時に既に検定機と性能が異なっている可能性」を日工組へ調査依頼。
日工組は理事、評議員企業である三洋、ダイイチ、京楽.、SANKYO、藤、平和、サミー、ニューギン、ソフィア、高尾、サンセイの11社に、「出荷時における“遊技くぎ”の状態とその状態における1分間あたりの一般入賞口による獲得遊技球数」に関するヒアリング調査を実施。
結果、『出荷時の「遊技くぎ」の状態での、1分間あたりの一般入賞口による獲得遊技球数が、3個未満となる遊技機がありました』と、11月4日に〔「遊技くぎ」の現状および今後の適正化について〕という文章で警察庁へ報告します。
ここで、なぜ「3個未満」、いわゆる「BYmin3.0未満」が基準値となっているかと申しますと、これは日遊協のコンプライアンス勉強会で出ていた数値。
ちなみに、都遊協の健全化センターの調査基準は、ザックリと書けば「1000発×3台の試打調査で1個も一般入賞口へ入賞しないと通報」というものですが、この比較あたりで現在の業界の空気感というものを感じていただければと(日工組は日遊協加盟団体、都遊協の理事長は全日遊連現代表の阿部さん)。

戻します。
日工組はこの調査結果における結論として、『一般入賞口(普通入賞口)の入賞数に関して、健全化推進機構による調査結果ほど極端なものはメーカーは出荷していないが、「遊技くぎ」の変更について、日工組組合員にも責任の一端があることは否定できない。そこで、この結果を踏まえ、ぱちんこ遊技機のさらなる健全化を目指し、「遊技くぎ」による不正使用できる型式の絶無に向けた取組を日工組役員会で申し合わせます』
『今後の適正化について、ホール(営業所)において、適正な状態で検定を受けた遊技機と同一の性能の遊技機として営業されるよう、「遊技くぎ」を適正な状態で出荷致します』
『この適正な状態の遊技機の速やかな供給がなされるように努めるとともに、「遊技くぎ」の変更に該当する型式遊技機は、他団体と協力しホール(営業所)から業界をあげて速やかに回収を行っていく事といたします』と報告します。
この報告を受け、警察庁から本エントリー冒頭の11月6日の警察庁丁保発第196号『検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機の撤去について(要請)』の文章。

11月9日(月)に日工組と警察庁で話し合いがもたれ、本事案のスタートとなります。
文章の流れ通りに進むと思われますので、まず、日工組が『出荷時点で既に検定機と異なる性能となっている可能性のある型式』をリストアップすることになるのでしょう。
警察庁からは『可及的速やかに該当型式遊技機の撤去を推進するように要請』されていますので、全日はこの日工組がリストアップした遊技機の撤去・回収に粛々と協力していくこととなりま…
『回収が進まないと健全化推進機構に判断されると通報』、『該当型式に係る遊技機を設置して営業を行うことは、20条第1項違反』と言われているにも関わらず、このテの場合、必ず反逆のチャレンジャーが現れたりするのですが、これは日工組と共に…ともなるわけですから、これに協力しなければ、当該代替え機以外も買えなくなるってペナルティも視野に入る事案ですので。

さて、全ホール、全業界人の注目は、このリストアップされるであろう『出荷時点で既に検定機と異なる性能となっている可能性のある型式』の遊技機の正体…

思い起こしてみましょう。
1996年10月から1997年1月に行われた「社会的不適合機」約70万台撤去。
4か月の期間内に、第1次~第4次撤去リストに従って行われました。
当時の撤去リストの中には、たぬ吉くん2やお笑い道場といったいわゆる羽根物も含まれていた事を思い出します。
ただですねぇ… この時は「CR機普及」という大義があったわけでして、今回とはまったく違う。
同じといえば、『現行設置機すべてが対象』となる可能性を含んでいる点。
‘甘’だろうが‘遊’だろうが、「遊技くぎ」の問題ですから全型式が対象。
もし、9日の協議で『現行設置機すべて対象』となったときは、驚愕の260万台撤去…
少なくとも1/3程度のホールは廃業するしかなくなるという剛掌波かめはめ波…

ただ、文言では『―――可能性のある型式』ですから、数機種に収まる可能性も無くは無い。
『可及的速やかに――』と言っても、“代替え足る新基準機”の数もまだ揃っていませんし、ましてや、現段階では【BYmin10対象機】の段階でもあり、当初の予定の新基準完全体【65%規制&BY30対象機】は来年5月が目安。
【エコパチ】への移行も明日、明後日ってわけにはまいりません。

っとゆーことで、脊椎反射せず、ひとまず日工組から全日への通知を待つしかないのかなと。
こっからは箝口令も緩くなると思いますし、数通りのシナリオは現時点でも想定できますので、書ける範囲で、リアルタイムでなんとか。

で、なぜ箝口令が厳しかったのかというと、メーカーさんには上場会社が多数あるってことで御理解いただけるのかなと。

このあたりも、昨今の業界の空気感なのだと、つくづく感じたここ数か月でした。