平均値 それでいいの?
さて、今回は平均値のお話です。
例に挙げるのは皆さんが予算の指標としているであろう玉粗利です。

業界にダラダラと従事して早24年になろうとしていますが、僕が業界
入った頃は、スタートすら取っているお店もほとんどなく、良くてベース
、まだ多くの店は差玉で管理していました。

しかし気付いたらBYminとかよくわからない記号がたくさん増えて、
勘に頼る営業から、、データ管理の営業にシフトしてきました。

今回はさらに一歩進めたお話です。
ダイコクがたくさんの有用なる指標を提供し、多くのホール管理者が
それを上手に使いこなして今に至っています。

でもでも・・・
与えられたものだけで何かを行う・・・というのは反復すれば誰でも出来
ますよね?正直な話、ジャーナルを見てある程度の分析が出来るように
なることなんて非常に簡単です。2カ月あればデータぐらいは読めるよう
になれるはずです。
では一歩踏み込んで疑問を持ってみましょうか。今回は
「玉粗利で予算を組んでいるけど、ホントにそれがベストなんだろうか?」
です。
現状、確率が支配している以上、どうする事も出来ない指標があります。
というか、ほとんどが予期できない変数ばかりですね。
そういった変数の中で「玉粗利」は非常に有用な指標です。
ただし、それを盲信することはベターであれ、ベストではありません
そこで立ち止まるのは利益率台粗利で予算を組むのとあまり変わらない
行為です。

下の表ですが、黒文字部分は実データをプロットしたものです。
青文字は玉粗利を同じにした仮想の数字です。
玉粗利を0.13から0.16の範囲で乱数取得して平均値を同じ値にしました。

あくまで比較のための作表です。

σというのは分散σは標準偏差の事です。

  OUT 実玉粗利 実台粗利 σ2 仮想玉粗利 仮想台粗利 σ2
a 33520 0.903 30265 0.5716 0.146 4894 0.0000
b 30790 -0.032 -974 0.0319 0.130 4003 0.0003
c 36130 0.907 32753 0.5771 0.141 5094 0.0000
d 33330 0.674 22467 0.2780 0.154 5133 0.0001
e 46940 -1.311 -61518 2.1241 0.130 6102 0.0003
f 32770 1.199 39291 1.1070 0.145 4752 0.0000
g 41240 0.300 12354 0.0233 0.160 6598 0.0002
h 31620 0.164 5188 0.0003 0.155 4901 0.0001
i 32140 -0.278 -8942 0.1807 0.141 4532 0.0000
j 45390 1.282 58174 1.2877 0.147 6672 0.0000
k 33130 -0.970 -32137 1.2474 0.152 5036 0.0000
l 40770 0.629 25664 0.2329 0.152 6197 0.0000
m 34050 0.275 9363 0.0164 0.144 4903 0.0000
n 28480 -0.111 -3175 0.0667 0.150 4272 0.0000
o 45380 0.350 15862 0.0411 0.142 6444 0.0000
p 35730 -0.775 -27699 0.8503 0.146 5217 0.0000
q 44770 -0.879 -39358 1.0526 0.145 6492 0.0000
r 30650 0.305 9344 0.0250 0.154 4720 0.0001
s 44010 -0.080 -3529 0.0516 0.152 6690 0.0000
t 25020 0.928 23210 0.6096 0.158 3953 0.0001
平均 36293 0.147 5330 0.5188 0.147 5330 0.0001
  σ= 0.7203 σ= 0.0078
   

この機種は玉粗利15銭ぐらいで運用していたのかな?
かなり昔のデータを発掘して掲載したので覚えていませんw
実際は機種ではなく店全体で考えるべきですが、さすがにこの場では無理なので
これを店全体と置き換えて考えてみましょう。
平均玉粗利15銭ですが、20台中その玉粗利を享受しているのは何台ありますかね?
黒い数字の方です。
平均では確かに15銭ですが、それに近いと言えばだけですね。
これが作表した青数字の方ですと、ほとんどが15銭に近いと言えます。
このばらつきを表しているのがσ:標準偏差です。
平均値を中心にプラスマイナスσの範囲に約68%が含まれている、と言う事です。
このばらつき範囲が広ければ広いほど、玉粗利の分布幅が広いということです。
狭ければ当然分布幅も狭い・・・ということになります。
もちろん青数字の方は平均値周辺に全てが分布しているので安定していますが

遊技客全員が必ず安定して負ける・・・と言う事でもあります。

夢も希望もあったもんじゃないですねw
青数字は極端な例ですが、黒数字の方はどのぐらいのσになるのが良いのか?
多くの標本から、どの程度のσだとどれくらいの顧客に満足して貰えて、逆に討ち死に
する顧客がどれくらいいるのか?
翌日の稼動影響度は?

従来は、単純に玉粗利の値のみが予定に近似しているから・・・で満足していたため
個別の遊技台・顧客の痛みを全く理解していなかったわけですよね?
「木を見て森を見ず」

と揶揄されますが、この場合逆に森しか見てないわけで・・・。

玉粗利が予定通りでも、σによっては、それほど認知されていない、または全く遊技客
に伝わっていない場合もある、逆に玉粗利が予定とかけ離れていたとしても、σ次第
で、遊技客に伝わる事もある!という事を知って貰いたくて、こんな長文をダラダラと
書いたわけです。

データの読み取り方の発想を変えてみましょう。